◆JERA セ・リーグ 中日1―4巨人(8日・バンテリンドーム)

 ため息と歓声が交差する中、堀田賢慎は力強く拳を握り締めた。1―0の5回。安打と四球などで2死満塁としたが冷静だった。田中を146キロ直球の1球で二ゴロに打ち取り、ほえた。今季2度目の先発で5回2/3、68球を投げ6安打無失点2Kで2勝目。先発での白星は22年8月5日のヤクルト戦以来。「チャンスをもらったのでなんとかという思いで上がった。勝てたことがすごくうれしいです」とヒーローインタビューで喜びをかみ締めた。

 燃える思いを球に込めた。今季は中継ぎスタートも4月13日の広島戦(東京D)で初先発4回無失点と好投。チーム事情でその後は救援に戻ったが、再び巡ってきた先発の機会に「絶対に抑える、簡単にローテは外れないという気持ちで」と気合は十分。MAX157キロを誇る直球の最速は148キロにとどまるも「最初は抜けてたけど勝負どころで追い込んでから投げ切れた」と好感触。スプリット、チェンジアップなども交えて1、2回は3者凡退と試合の流れにうまく入った。3回以降、走者を背負っても要所を締め、6回2死一塁で降板。先発の役割は果たした右腕を、阿部監督は「最後も満塁をしのいで素晴らしかった。ちゃんとチャンスをつかんで好投しているのですから」とたたえた。

 力の源はお手製の食事だ。昨オフに退寮して一人暮らし中だが、料理はお手の物。寮生活だった青森山田高時代には食事当番を決めて朝食を自分たちで作っていた。「50人分ぐらい。卵も何十個も使ってスクランブルエッグとか作って。大変ですけどそういうのもあってだいたいのメニューは作れる」と得意げ。最近は「ご飯の上にタレをつけて焼いた鶏肉と卵も乗せて」と焼き鳥丼がお気に入り。アスリートとして食事も重要。「自分で考えて栄養に気を配っている」と胸を張る自炊も好投につながっている。

 これで先発、救援合わせて8試合に登板して防御率0・98。杉内投手チーフコーチも「次も(先発の)可能性ありますね」とにっこり。「次は2巡目以降というのを課題にして投げたい」と背番号91。ここからさらに勢いに乗っていく。(水上 智恵)