巨人が新外国人として前レンジャーズ3Aラウンドロックのエリエ・ヘルナンデス外野手(29)の獲得に向けた最終段階に入っていることが9日、分かった。メジャー経験は少ないが、昨年はマイナー3Aで最多安打、最多二塁打を記録した強打の右打者。開幕前に新外国人のオドーアが電撃退団し、外野は萩尾や佐々木ら若手が奮闘する中、待望の右の外野手の緊急補強で阿部巨人に新風が吹く。

 打線強化へ巨人がシーズン途中の緊急補強を行う。新外国人としてエリエ・ヘルナンデス外野手の獲得が秒読み段階に入っていることが判明した。レンジャーズ傘下ラウンドロックから1日にリリースされてFAとなり、球団は動向を注視してきた。強打の右の外野手に得点力アップを託す。

 ドミニカ共和国出身のヘルナンデス。メジャー経験は22年のみで14試合、33打数6安打、打率1割8分2厘、0本塁打、3打点と目立った実績はない。だが、マイナーでは昨年、3Aのパシフィックコーストリーグで137試合、打率2割9分8厘、18本塁打、99打点、9盗塁。165安打でリーグ最多安打、二塁打36本も同最多と好成績を残した。今季も同リーグで20試合、打率2割8分9厘、2本塁打、出塁率3割8分6厘と好調を維持していた。

 広角に長打を打てる確実性の高い打撃だけでなく、身体能力の高さを生かした守備も魅力だ。今年3月、中堅手で出場した試合で2点リードの9回、フェンスを越えたと思われた大飛球をジャンピングキャッチ。同点2ランを阻止するビッグプレーでファンの大歓声を浴びた。マイナーでは右翼手での出場がメインだったが、中堅や左翼を含め外野をどこでも守れる。

 巨人はここまで17勝15敗3分けで2位。チーム防御率2・32の投手陣の奮闘が光る。4月に球団ワースト13試合連続3得点以下と打線が苦戦した期間も、投手がカバーして5勝5敗3分けで踏ん張った。チーム打率リーグ5位の2割2分8厘で、1試合平均2・51得点。12本塁打はDeNA、広島と並んでリーグ最少タイと攻撃面に課題が残る中で、フロントが迅速な動きで新戦力を発掘した。

 開幕直前にメジャー通算178本塁打の新外国人、ルーグネッド・オドーア外野手が2軍調整を拒否して退団。支配下登録の外国人野手ゼロで開幕し、4月にエスタミー・ウレーニャ内野手が育成契約から昇格して1軍登録されたが、4打数無安打で2軍降格した。外野はルーキーの佐々木、萩尾ら若手が奮闘。ベテランの長野、丸も存在感を見せているが、右打者の層が厚いとはいえない状況で、ヘルナンデスは補強ポイントにピッタリ合致する。

 「勝負は8、9月」と先を見据える阿部監督。長いシーズンを考えても、この時期に新助っ人が加われば心強い。4年ぶりリーグ優勝、12年ぶり日本一への救世主として期待がかかる。

 ◆エリエ・ヘルナンデス(Elier Hernandez)1994年11月21日、ドミニカ共和国出身。29歳。2011年にロイヤルズと契約。12年からマイナーでプレー。22年にレンジャーズでメジャーデビュー。メジャー通算14試合、打率1割8分2厘、0本塁打、3打点。昨年は3Aでリーグ最多安打の165安打。外野はどこでも守れる。185センチ、89キロ。右投右打。

 ◆G外野の現状 ここまで35歳の丸が最多29試合に先発しており、2年目の萩尾が25試合、ルーキーの佐々木が24試合、現在はファームのオコエが12試合と続く。左翼は1番に定着した丸が中心で、守備にも定評のあるヘルナンデスが日本野球に適応できれば、これまで流動的だった右翼、もしくは中堅の一角を占めることが濃厚。萩尾や佐々木、オコエに加え、ファームで研さんを積む浅野らが残りの1枠を争うことになる。