●庵唄地方、三味線と篠笛

 4、5日に南砺市城端地域中心部で行われる国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産、国重要無形民俗文化財「城端曳山祭(ひきやままつり)」に初めて女性が庵唄(いおりうた)の地方(演奏者)として参加する。祭りは300年間、男性のみで担ってきたが、曳山を持つ6町で構成する庵連合会が維持、継承を考えて女性に門戸を開いた。東下町(ひがししもまち)から女性2人が名乗りを上げ、三味線と篠笛(しのぶえ)の稽古に励んでいる。

 初の女性の参加者は松平麻梨花さん(39)と山下麻菜美さん(30)。松平さんは三味線、山下さんは篠笛を担当する。

 城端曳山祭の6町は曳山と庵屋台を巡行する。庵唄は地方が庵屋台の中に入って唄と演奏を披露する。東(ひがし)下町宝槌会(しもまちほうてつかい)の地方は唄・太鼓4人、篠笛4人、三味線4人で構成する。

 各町とも地方の担い手不足が課題だった。昨年1月、庵連合会は準備会合で、祭り継承のため、地方に女性の参加を認めることを申し合わせた。しかし、女性の衣装など細部でまとまらず、昨年は見送られた。今年1月の準備会合で紋付き袴姿にすることを決めた。

 宝槌会の松平崇司会長(42)らは、今年の「女性解禁」を見据え、昨年、妻の麻梨花さんと、中学高校時代に吹奏楽部でフルートを演奏した山下さんに声を掛けた。昨年2月から、麻梨花さんは三味線の指導者に、山下さんは会員から篠笛の演奏を教わり、本番に備えてきた。

  ●2人の夫は唄担当

 東下町の稽古は2月に東町庵で始まり、4月は連日行われている。2人はいずれも夫が唄を担当しており夫婦初共演となる。松平さんは「初めての女性の参加に緊張しています。男衆と一緒に祭りに溶け込むことを心掛けたい」と話し、山下さんは「今年が一番大切で、皆さんと祭りを成功させたい」と意欲を語った。