年を重ねるごとに円熟味を増す演技力に加え、代表作である「あぶない刑事」シリーズの劇場版最新作「帰ってきた あぶない刑事」でも、変わらぬキレのあるアクションを披露している柴田恭兵。そして、現行連続ドラマ最多シリーズ記録を更新し続けている「科捜研の女」にて主人公・マリコを支える京都府警捜査一課刑事・土門薫をはじめ、数々の当たり役で圧倒的な存在感を放つ内藤剛志。日本エンタメ界を長きに渡って支え続けてきた名優2人が共演したドラマシリーズが、2002年より放送された「ドクVSデカ 心療内科医&殺人課刑事の捜査ファイル」だ。

沢木仙太郎(柴田)は、東京・月島の雑居ビルに診療所を構える心療内科医。人はいいが、何事にも不器用なためか、離婚歴がある。そんな仙太郎を見かねて、診療所の近所にイタリア料理の屋台を出している村松夏実(高田聖子)は、何くれとなく世話を焼いていた。

ある朝、診療所に向かう途中で仙太郎は、若い女性(高橋かおり)が、今にも飛び降り自殺をしそうな雰囲気で屋上に佇んでいる姿を発見。慌てて彼女のもとに駆けつけると、彼女は記憶を失って、途方に暮れていたことが判明する。仙太郎は、彼女は何か耐えがたい体験に直面し、それを思い出したくないという無意識の欲求によって記憶喪失になったと診断を下す。

「ドクVSデカ 心療内科医&殺人課刑事の捜査ファイル」より
「ドクVSデカ 心療内科医&殺人課刑事の捜査ファイル」より

(C)東映

時を同じくして、晴海埠頭では男性の水死体が発見され、晴海署の森崎警部補(内藤)が現場に急行する。所持品から、水死体は新宿に本社のある東洋食品の河合常務(谷本一)だと判明。さらに絞殺されたことが死因だとわかる...。

とある殺人事件を通じて知り合った、人情味はあるがどこか頼りない心療内科医・沢木と、強引な捜査方法で職務を全うしようとする森崎。彼らが時に衝突しながらも、事件の真相に迫っていく姿を描く本作で、柴田は心療内科医・沢木を、内藤は刑事・森崎を好演。柴田は、高所恐怖症や、丁寧な言葉遣いなどの側面から知ることができる、沢木の「ちょっと気弱でお人よし」なパーソナリティーを、おちゃめな表情や柔らかい声の表情で視聴者に印象づけた。一方の内藤は、ダークスーツに加え、スキンヘッドというヘアスタイルで、刑事・森崎の実直さを視覚的にも表現した。

ソフトな物腰の沢木と無骨な森崎という対照的な2人のコンビネーションは、ドラマファンを魅了。続編を熱望する声に応え、本作の放送から2年後の2004年には「ドクVSデカ2」も制作され、沢木のクリニックで起きた殺人事件をめぐるミステリーが描かれた。

放送当時、刑事役を演じることが多かった柴田が、スーツから白衣に着替え、癒やし系オーラを全開にして演じた心療内科医・沢木。そして、沢木との名コンビを発揮する森崎を圧倒的な存在感で体現した内藤。2人の演技合戦に注目しながら、ドラマの結末を最後まで見届けてほしい。

文=中村実香

放送情報【スカパー!】

ドクVSデカ 心療内科医&殺人課刑事の捜査ファイル
放送日時:2024年6月7日(金)11:00〜、2024年6月20日(木)11:00〜
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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