信頼できる婦人科のかかりつけ医を持っておけば、生涯にわたり心配事やトラブルがあった時に強い味方になってくれます。婦人科でどんな診察・相談ができるのかをまとめました。

婦人科系の病気から小さなトラブルまで対応

「妊娠・出産や生理、おりものの異常やかゆみ、生理前の不調、子宮頸がん検診など幅広く対応しているので気軽に相談してください。“将来妊娠できるか調べてほしい”と希望する方がいますが、一般的な検査で子宮や卵巣に異常がないかチェックできても、妊娠できるかまではわかりません。その場合は詳しい検査をおすすめします」

【内診ってどんな流れ?】
(例:子宮頸がん検査)

内診台に座る。自動で内診台が上がり、脚が開いていく。

クスコと呼ばれる器具を腟内に入れ、おりものの状態やポリープの有無を肉眼で確認。

クスコを入れたまま、子宮の入り口から細胞をこすり取り、検査に回す。

腟内に指を入れ、もう片方の手でおなかを軽く押して子宮や卵巣に腫れがないか確認。

避妊だけじゃない!QOL向上にピルの処方も

「生理痛を軽減してホルモンバランスを整えるなど、低用量ピルには避妊効果以外にもメリットがあります。デメリットは血栓症のリスクが高まること。初めての人は対面診療で処方してもらうと安心です。価格は保険適用で1シート500円程度から。ピルの選択肢も幅広く、困っている症状に合うものを処方できます」

【ピルにはこんなメリットが!】

①過多月経・生理痛の改善
低用量ピルの作用で子宮内膜が薄く保たれるので、月経痛や経血量が軽減される。

②病気のリスクを軽減
排卵を抑えることにより、卵巣がん、大腸がん、子宮体がんの予防につながる。

③将来の妊娠率を上げる
長期的なピルの服用は排卵による卵巣のダメージを防ぐため、将来の妊娠率が高まる。

HPVワクチンは30代でも接種の効果あり

「子宮頸がんは性交渉によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)がおもな原因。性交渉前のワクチン接種が最も有効ですが、経験がすでにあってもすべてのHPV型に感染している可能性は低いため、26歳までの女性は接種が推奨されます。27歳以上は個々に検討を。性生活のパートナーが代わる可能性があるなら接種の効果はあります」

定期的な受診で婦人科系の病気を予防

「厚労省は20歳以上の女性に2年に1回の子宮頸がん検診を推奨しています。がんの早期発見やがんになる手前の状態で見つけて治療ができます。しばらく婦人科を受診していない人は、子宮頸がん検診を受けるためにまずは受診を。ピルの服用によって発症リスクを抑えられる病気も多いので、併せて相談してみてもいいでしょう」

実は悩んでいる人も多い! PMSの相談もできる

「PMS(月経前症候群)は生理前の3〜10日の間に、心と体に不快な症状が現れるもので、生理が始まると消失するのが特徴。認知が広がり、受診する人も増えています。中でも精神的な症状が重いものはPMDD(月経前不快気分障害)と呼ばれます。症状はさまざまですが、ピルや漢方が有効なので悩まずに相談してください」


教えてくれたのは…高橋怜奈先生

産婦人科専門医・指導医、医学博士。医師として勤務しながら、YouTubeやXで医療情報の発信も積極的に行っている。