予防歯科とは?歯科衛生士がおこなう処置内容と将来性について解説_KV

1.予防歯科とは

むし歯を防ぎ歯の寿命を延ばす

予防歯科とは歯を衛生的に保ち、むし歯や歯周病などを防ぐことを指します。歯石やむし歯の原因となる菌がついたままの状態が続くと、歯の疾患にかかりやすくなり歯を失うリスクが高まります。

厚生労働省と日本歯科医師会が提唱している「8020(ハチ・マル・二イ・マル)運動」では、80歳になっても20本以上の歯を保つことを目標としています。不自由なく食事ができる歯の数は20本だといわれており、歯を失うことで咀嚼や噛み合わせ、全身の健康にも影響が出る可能性があります。

歯の喪失原因の9割はむし歯と歯周病が占めていることから、現存する歯の健康を保つには日頃のケアと定期的なプロの手によるケアが欠かせません

予防歯科を担う歯科衛生士

歯科診療所において、予防歯科を主に担当するのは歯科衛生士です。歯科衛生士の業務はさまざまですが、なかでも予防処置や保健指導は幼児から高齢者まで幅広い年齢層を対象としており、患者の口の健康を支える主役といえます。高齢化や歯の健康寿命への意識の高まりから、予防歯科に力を入れている歯科診療所もあります。

予防歯科では3ヶ月ごとなど定期的な通院が推奨されているため、一人の患者と長期的に関わることもあります。来院する患者以外にも、保健所や学校などでおこなう歯科保健指導も予防歯科の一つです。

また、加齢により自分で歯磨きなどのケアが難しくなった人の自宅や介護施設における訪問歯科でもニーズがあります。

2.予防歯科でおこなうこと

定期検診

患者の状態に応じて定期的に検診をおこないます。検診では、むし歯や歯周病、歯の欠損がないかなどをチェックします。クリニックによっては唾液検査をおこない、唾液の分泌量や細菌数を調べるところもあります。

歯磨き指導

患者に歯の磨き方を教えることで、ブラッシング指導やTBI(Tooth Brushing Instruction)とも呼ばれています。患者が歯磨きをする様子を見て注意点を教えたり、口腔模型を使って指導したりさまざまな方法があります。

歯石除去・歯面清掃

歯に付着して硬くなった歯石や汚れをスケーラーや超音波機器を使って取り除くことです。PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)とも呼ばれています。

フッ化物(フッ素)の塗布

むし歯の原因菌の働きを弱めたり歯を強くしたりするフッ化物。継続的に塗布することで虫歯を予防したり進行を食い止めたりする効果が認められているため、半年に1回など定期的に歯面に塗布します。

3.歯科衛生士は予防歯科の主役

さまざまな研究で口内の健康が全身の健康につながることが証明されていることから、予防歯科の需要は今後も増加すると考えられます。

厚生労働省の「令和4年歯科疾患実態調査」によると、3歳から35歳の人のむし歯の数は減少しているものの、55歳以上では増加傾向にあります。また高齢者における歯の残存数は増えているものの、身体機能の衰えなどにより十分な口腔ケアができなくなり、むし歯や歯周病を発症するリスクは高まります。高齢者に多い糖尿病に関しても、免疫力や唾液の分泌量の低下から歯周病になる確率が高く、口の中を衛生的に保つことで進行を抑えることが期待されます。

これらのことから、予防歯科を主導する歯科衛生士の役割は、歯科診療所だけでなく居宅や施設などさまざまな職場で重宝されるでしょう。

歯科衛生士が活躍する場はたくさんある!

  • ホワイトニング
  • 訪問歯科
  • 小児歯科
  • インプラント