画像はイメージです(以下、同じ)地方から都会に出て働いている人は、長い休みを帰省に使う人も多いでしょう。

せっかくのお休み、実家に帰って両親や兄弟、親戚や、地元の友人に会う絶好の機会ですが、そんな帰省も楽しいことばかりではないようです。

帰省したくない

山田美紀さん(仮名・38歳)は、都内で働く独身女性。管理職として、日々忙しく仕事をこなし、休日は気の置けない友達とバカンスに行くなど、充実した生活を送っています。

ですが、年に1度だけは実家の東北に帰省することに決めています。

「都会の生活にすっかりなじんで、それなりに充実した毎日ではありますが、両親も高齢になってきたし、地元で両親と住んでいる兄弟の顔も、年に1度くらいは見たいなと思って帰るのですが…帰るとなんとなくドンヨリした気分になってしまいます」

ゲンナリの理由は?

山田さんがゲンナリしてしまう理由は、両親や親せきと顔を合わせ、久しぶりに一緒に食事をする席で、家族からポロリと出る「結婚していない」にまつわる発言。

弟がいる山田さんですが、弟は結婚しており、悪気はないけれど両親のなにげない発言に肩身が狭い思いをしてしまうのだとか。

コロナ禍では帰省できない時期が続きましたが、コロナが明けて久しぶりに帰った実家でも、やはりモヤモヤしてしまったそうです。

「地元にいる弟の子どもたちが、ちょうど3歳〜5歳とかわいい盛りで走り回っているんです。両親のお膝に乗って『じいじ』『ばぁば』なんて言われて目を細めている両親を見ると、悪いことをしているわけではないけれどなんとなく胸が痛みます。

『誰か職場にいい人いないのかね?』なんてポロっと言われたり、親戚のおばさんから『今は医療が発達して、高齢出産でも全然大丈夫みたいねー』などと言われると、顔では笑ってますが、心の中では大きなお世話だよってイラっとしてしまいます」

世の中は、多様な生き方を尊重しようという流れになってきているものの、まだまだ地方では「結婚しないと一人前ではない」という見方が強いのも事実。本人は離れた場所で充実した生活を送っているというのに、腫れもののように気を使われるのも、だからといって早く結婚しなさいとおせっかいをされるのも、どちらも複雑な気持ちになってしまいますね。



子供の話しかしない地元の友達

家族会議イメージさらに、地元の友達とも最近は話が合わなくなってきているのだとか。

「帰省するたびに会う地元の友達は、わたし以外全員既婚者。少し前までは、友達の子どもも幼くて可愛く、友達の家に遊びに行っても楽しく過ごせていたのですが、徐々に友達の子どもが大きくなるにつれ、子育ての悩みなど、独身のわたしがついていけない話題になってポカーンとしてしまうことも。子どもに手がかかる時期なので仕方ないなぁとは思うのですが、なんとなく寂しく感じるようになってしまいました」

思いっきりバカンスすることを決意

そんなことが続き、慣れ親しんだ家族や友人の顔を見るのが毎年楽しみで帰省するのに、モヤモヤした気持ちで帰る長期休みはあまりにもったいないと感じた山田さんは、思い切って方針転換することにしたそうです。

「仕事をしていると、いちばん長く休めるのが夏休み。それを帰省に使うのはやめ、友達と思いっきりバカンスすることにしました。その代わり、帰省は秋の三連休など短い休みを使って、サクッと済ませます。いちばん顔を見せたいのは両親ですし、それが叶えばいいかなって。そう考えたら少し気持ちがラクになりました」

もし山田さんのよう長期休みを憂鬱に感じる人がいたら、少しやり方を変えてみるのも一つの方法かもしれませんね。

<文/塩辛いか乃>

【塩辛いか乃】
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako