チーム・ペンスキーは、インディカー開幕戦セントピーターズバーグで起きたプッシュ・トゥ・パスの不正使用問題を受けて、チームの”過ち”を謝罪。チームの幹部4人に謹慎処分を下したことを発表した。

 この問題は、開幕戦を終えてから1ヵ月半が経ち、優勝したジョセフ・ニューガーデンと3位だったスコット・マクログリンが失格となったことで明るみとなった。

 これは本来、使用が禁止されているリスタート時にプッシュ・トゥ・パスを使用していたことが原因。4位となっていたウィル・パワーも10ポイント減算のペナルティを受けたが、プッシュ・トゥ・パスは使用していなかったため、失格は免れている。

 チームはこの件について、ハイブリッドシステムのテスト時に使用していたソフトウェアが削除されていなかったことが違反につながったと釈明していた。

 内部調査の結果として処分の対象となったのは、ロジャー・ペンスキーの右腕であり、レースオペレーションを担うチーム・ペンスキーの社長も務めるティム・シンドリックや、長年マネージングディレクターを務めてきたロン・ルゼフスキー、ニューガーデン担当エンジニアのルーク・メイソン、パワー担当シニアデータエンジニアのロビー・アトキンソンの4人だ。

 職務停止となる期間は2レースで、インディアナポリスのロードコースで行なわれるレースとインディ500が含まれている。

 シンドリックはニューガーデンのストラテジスト、ルゼフスキーはパワーのストラテジストも務めており、ペンスキーは伝統のインディ500をチームの中核となるスタッフ抜きで戦わなくてはならない。

 ペンスキーは、チームオーナーのロジャー・ペンスキーの言葉として、次のように声明を発表している。

「私は、起こったことの衝撃の大きさと、自分が何十年も捧げてきたスポーツに与えたインパクトの大きさを認識している」

「チーム・ペンスキーのみんな、そしてファンやビジネス・パートナーに対し、私が今回の過ちを謝罪し、深く反省していることを知っておいて欲しい」

 違反が発覚したのは、第2戦ロングビーチのレース日、ウォームアップ中に不正な操作が行なわれたことが発見されたからだ。そして45日前に行なわれた開幕戦に遡って失格処分が下された。

 しかしパドックでは事態の経緯について、ペンスキーの供述と対応に不満を持つ声が多かった。

 こうした状況の中、チームは内部調査を実施し、事態の収束を図ったわけだ。チームは声明で次のように述べている。

「ロングビーチ後のチーム・ペンスキーINDYCARチームとドライバーへのペナルティーを受け、チーム・ペンスキーは内部調査を完了した」

「情報を全面的かつ包括的に分析した結果、チーム・ペンスキーは我々のプロセスと社内コミュニケーションに重大な欠陥があったと判断した。その結果、ルーク・メイソン(パワー担当レース・エンジニア)とロビー・アトキンソン(シニア・データ・エンジニア)は、インディアナポリス500を含むINDYCARの次の2レースについて、チーム・ペンスキーから謹慎処分を受けることになった」

「さらに、ロン・ルゼフスキー(チーム・ペンスキーINDYCARマネージング・ディレクター)も、チーム・ペンスキーの全業務に責任を持つティム・シンドリック(チーム・ペンスキー社長)とともに、この2レースの出場停止処分を受けることになる」

 またシンドリックはチームのSNSに自身の声明を投稿。自らの責任を認めた。

「このチームのリーダーであるロンと私にとっては、自分たちが何をしたかではなく、何をしなかったかが重要だ」

「このようなことが起こらないよう、チームと全ドライバーに適切なプロセスを提供するのが我々の責任だ。そのことについては、ロジャーとチーム、そして我々をサポートしてくれているすべての人たちに謝りたい」

「我々にとって最も重要な仕事は、我々のブランドと我々をサポートしてくれる人たちの評判を守り、高めることだ。その点で、私は全体的なリーダーとして失敗し、手を挙げ、他のメンバーとともに責任を負わなければならない」