メルセデスのルイス・ハミルトンは、今のピレリタイヤの特性について、これまでに経験したほどがないほどスイートスポットが小さいと語った。

 先日のマイアミGPは、高い路面温度と路面の特性、レイアウトも相まって、ドライバーがタイヤを上手く使うのがとても難しいレースとなった。

 ハミルトンにとっても、これは厳しい状況だった。現状メルセデスのマシンはタイヤの温度に特に敏感であり、簡単にタイヤの作動温度領域を外れてしまうという事実がプラスに働くことはなかった。

 ハミルトンは、ピレリの18インチタイヤの特性はこれまで経験したことのないものだという。

「僕たちは、タイヤ温度に関して、極小のウインドウの中で仕事をしていると思う」

 そう彼は語った。

「このタイヤのせいだと思う。間違いなく、僕のキャリアの中でこれほど小さなウインドウで仕事をした覚えはない」

 最近のF1ではわずかなタイムロスが順位を大きく左右するため、適切なウインドウから外れた場合の代償は非常に大きい。

 ハミルトンは、この状況に対処するのは容易なことではないと語った。

「正直なところ、最もフラストレーションが溜まることだよ。前はもっと作動ウインドウが広かった。そうすればバランスを最適化することができるし、一周を通してグリップを高く保つことができる。これは間違いなく僕が1番嫌いなモノだ」

 タイヤの温度が全体的なパフォーマンスを大きく左右していると感じているドライバーはハミルトンだけではない。

 ウイリアムズのアレクサンダー・アルボンは、マイアミが今のF1におけるタイヤ温度重視の傾向を浮き彫りにしたと語った。

「何よりもタイヤが重要なんだ。中国も似たような感じだった」

「もっと速く走ったら、もっと遅くなってしまう。だから予選ではタイヤを生かすためのマネジメントが必要なんだ」

「このタイヤにあの路面は熱すぎた。年々内圧の上限が上がって、タイヤは苦しんでいる」

 レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコはそうした背景によって、マイアミGPの予選でメルセデスがミディアムタイヤを試すという”自暴自棄”な行動に出なければならない状況に追い込まれた話した。

「誰もが何かを得ようとしていたと思うが、うまくいかなかった。というのも、ここでのタイヤの特性は予測がつかないものだったからだ」

「各チームは内圧を上げたり下げたり、微妙な変更を加えて試していたし、ウォームアップのフェイズも異なっていた。メルセデスはミディアムタイヤに変更したが、これは自暴自棄な行動だったと思う。つまり、誰もコントロールできていなかったということだ」