狭くツイスティなモンテカルロ市街地サーキットで開催されるF1モナコGPが開幕。今年も各F1チームがハイダウンフォース仕様のリヤウイングを投入した。

 過去2年とは異なり、今年は最速レッドブルにフェラーリとマクラーレンが接近しているという状況モナコGPで迎えた。マクラーレンのランド・ノリスは2戦前のマイアミGPで優勝を挙げ、前戦エミリア・ロマーニャGPでも優勝したレッドブルのマックス・フェルスタッペンをあと一歩のところまで追い詰めた。

 戦いの場はモナコの市街地に移るのは、レッドブルにとっては向かい風。今季チームが投入したRB20は、ツイスティなコースレイアウトや縁石と凸凹への対処が苦手とされており、モナコGPでレッドブルは厳しい戦いを強いられるかもしれないというのが下馬評だ。

 そうした状況の中、10チーム全てがハイダウンフォース仕様のリヤウイングを用意。ここでは空気抵抗増加による代償は少なく、最大限のダウンフォースを生み出すことが何よりも優先された。

 フェラーリはエミリア・ロマーニャGPで大型アップデートをSF-24に投入。モナコに持ち込まれたリヤウイングもそのDNAを受け継いでおり、フラップ先端と翼端板の接合部は半独立型だ。ただ、ウイングのメインプレーンは従来のスプーン状からより平らになった。

 フェラーリが高いダウンフォース性能を要求するサーキットに合わせてリヤのダウンフォースレベルを調整するためにウイングに変更を加えるのは今季初めてのこと。日本GPが行なわれた鈴鹿サーキットにもフェラーリはハイダウンフォース仕様のパッケージを持ち込んだが、使用しなかった。

 フェラーリはまた、リヤウイングを吊り下げるサポートパイロンにあるウイングレットを再利用。微量ながらもダウンフォース増加を狙った。

■マクラーレン

 一方マクラーレンは、リヤウイングとビームウイングにモナコ用の微調整を加えたアッセンブリを投入。これらは高いダウンフォース性能が要求されるサーキットで「ダウンフォースを効率的に高めるため」に追加されたモノとチームは説明しており、他のレースでも役立つことを示唆した。

 またビームウイングの改良についてマクラーレンは、「全体的な効率性を向上」させることを目指したと説明した。

■レッドブル

 レッドブルも手ぶらでモナコにやってきた訳ではなく、調整を加えたリヤウイングとビームウイングを投入。ウイングを「より湾曲させ、角度をつける」ことで、局所的なダウンフォース増加を狙った。

 レッドブルを含む数チームは、モナコの非常にタイトなフェアモント・ヘアピンを回り切ることができるように、フロントサスペンションのフェアリングに切り欠きやを入れるなどした。

■メルセデス

 メルセデスは一般的なハイダウンフォース仕様のリヤウイングに加え、新しいフロントウイングもモナコに持ち込んだ。局所的にダウンフォースを増やすだけでなく、ウイング先端からマシン後方に向かう渦流を変化させ、タイヤが生む乱流の改善に寄与するはずだ。

 アストンマーティンは、より“アグレッシブな”ハイダウンフォース仕様のリヤウイングをモナコで採用。これは他チームよりもモナコ特化のソリューションであり、最大限のダウンフォースを得るために空力効率が犠牲になることを受け入れた。

 これまで挙げたチーム以外にも、アルピーヌ、RB、ウイリアムズ、ハース、ザウバーは、モナコ特化のパーツと共にリヤウイングを持ち込んだ。なおアルピーヌは、ヘイローの新型フェアリングも投入した。