MotoGP第6戦カタルニアGPのスプリントレースで勝利したアレイシ・エスパルガロ(アプリリア)は、今季限りでの引退を表明したこのレースで勝てたことを非常に喜んでいる。

 エスパルガロは地元バルセロナで行なわれているカタルニアGPで、今季限りでMotoGPの現役を退くことを発表。しかしその競争力は引退を決めたライダーとは思えないものがあり、予選ではコースレコードを更新してポールポジションを獲得した。

 スプリントレースでは序盤こそライバルに先行を許して少しポジションを落としたが、トップを走っていたラウル・フェルナンデス(トラックハウス)やブラッド・ビンダー(KTM)が転倒したことが助けになり、終盤は2番手まで浮上した。

 そしてラストラップには、フランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)が転倒したため、エスパルガロがトップでチェッカーを受けた。引退表明の直後にポール・トゥ・ウィンでスプリントレースを制するという、記録にも記憶にも残りそうなレースとなった。

「この2日間はもう信じられないよ。おとぎ話のようで、言葉がない」

 エスパルガロはそう喜びを表現する。

「(スプリント)レースはとても難しかった。かなりスライドしてしまっていて、ラップタイムを縮められていなかったんだ。それで僕は終盤に向けてタイヤを節約しようと試みていたんだ」

「ペッコ(バニャイヤ)が少しリスクを負っていたようで、僕は彼を最後までプッシュしようとして、そして信じられないような勝利を得た」

「日曜の午後にも話すことになるだろうけど、おとぎ話のようなんだ。どれだけ素晴らしいことなのか、それを説明する言葉が無い。懸命にやっていたけど、状況は複雑だった」

「コースは氷のようで、スタート時のペースは良かったもののそれを維持するのが大変だったんだ。維持していくのが難しいと直感したよ。それで転倒が増え始めた後、僕はペッコについていくことができなかった。(タイヤの)内圧が上がってしまって近づけなかったんだ」

「彼との距離を維持し続ける必要があったんだけど、限界までプッシュして、ミスを犯すかどうか賭けていた」

 そして転倒したフェルナンデスや、終盤に追い抜いたペドロ・アコスタ(GASGAS)については次のように指摘し、自らの戦術が上手くいったと語った。

「ラウル・フェルナンデスはとても速かったけど、そのペースを維持するのは不可能だった。序盤にタイヤを使いすぎたツケが回ってきたんだ」

「ペドロは序盤にとても強かったけど、彼も終盤にツケを支払った。ベテランであることは、時に問題もあるけど、良い面もあるんだ」

「見た目よりも戦術的なレースだったはずだ。序盤に僕はいいペースがあったんだけど、方向を見失うことはなかった。踏ん張って、ミスを待っていたんだ」