スペイン・バルセロナのカタルニア・サーキットでMotoGP第6戦カタルニアGPが開催。最高峰クラスの決勝レースを制したのは、ドゥカティのフランチェスコ・バニャイヤだった。

 カタルニアGPはアレイシ・エスパルガロ(アプリリア)が今季限りでの引退を表明する形でスタートしたが、そのエスパルガロが予選でポールポジションを獲得。スプリントレースではライバルの転倒に助けられた形ではあったが、ポール・トゥ・ウィンを果たすという劇的な週末となっていた。

 決勝レースではエスパルガロが再び勝利するのか、それともスプリントレースでは転倒で涙をのんだラウル・フェルナンデス(トラックハウス)やバニャイヤらが挽回するのか、会場の熱量が高まる中、レース開始時刻を迎えた。

 カタルニアGPは週末を通じて天候に恵まれており、MotoGPクラス決勝は気温25度、路面温度46度というコンディションとなった。なおペドロ・アコスタ、マルケス兄弟、ジャック・ミラー(KTM)がリヤにソフトをチョイスした。

 全24周で争われる決勝はバニャイヤ、アコスタ、ブラッド・ビンダー(KTM)が好スタートを切ってターン1を通過。エスパルガロは5番手に沈んだ。またソフトタイヤを選んだマルク・マルケスは10番手と、スタートでジャンプアップとはいかなかった。

 レースはバニャイヤが先頭で引っ張り、アコスタがその直後2番手を走行。3番手をホルヘ・マルティン(プラマック)とビンダーが争うという形で2周目へと入った。

 アコスタはバニャイヤのオーバーテイクを狙う動きを序盤から見せ、3周目のターン10で果敢に仕掛けていった。ただ、ここはクロスラインでバニャイヤがポジションを守った。その間に3番手のマルティンに追いつかれ、アコスタは逆に追い抜かれてしまった。

 2番手に浮上したマルティンは、5周目のターン10でインにズバッと切り込むと、軽々とオーバーテイク。トップが入れ替わった。バニャイヤはアコスタにも次のラップで追い抜かれ、3番手まで後退してしまった。

 バニャイヤはこれ以上ついていくことができず、トップ争いはマルティンとアコスタの2名によるバトルへと変化。ふたりはテール・トゥー・ノーズの距離での鍔迫り合いを続けた。

 マルティン対アコスタのバトルはその後6周にわたって続いたが、11周目のターン10でアコスタがフロントタイヤを滑らせて痛恨の転倒を喫してしまった。これでマルティンは少し余裕が生まれた格好だ。

 レース折り返し12周目時点では、トップのマルティンと2番手のバニャイヤとのギャップは約1秒。3番手にはビンダーをパスしたエスパルガロが続いていたが、バニャイヤには3秒差という状況だった。

 トップ2名のペースはほぼ同等であり、3番手以下を置き去りにする速さがあった。バニャイヤはその中でも若干マルティンよりも速さを見せていたため、ごく僅かではあるが1周ごとにギャップを縮め始めた。

 ふたりの差はラスト3分の1を過ぎた残り7周で、0.3秒差まで接近。射程圏内に捉えたと見たか、バニャイヤはプレッシャーを一気に強め始めた。

 残り6周、バニャイヤはターン5でインを差してマルティンをパス。反撃は許さず、そのままトップで差を広げていき、優勝を大きく手繰り寄せた。

 バニャイヤはトップをマルティンから奪ったあとはぐんぐんと先行。ラストラップに約1.5秒差をもって入り、スプリントレースで転倒してしまったターン5も無事に通過。最終コーナーを立ち上がり、トップチェッカーを受け今季3勝目を挙げた。マルティンは力及ばず2位となった。

 3位争いは最後まで白熱した。残り4周、追い上げて来たマルク・マルケスがエスパルガロをターン1でパスし、エスパルガロが争いから脱落したかと思われた。しかしエスパルガロは決して離されることなく最後まで食らいつき、ホイール・トゥ・ホイールのバトルを最終ラップに繰り広げた。ただここはマルケスが抑えきり、3位を獲得。エスパルガロは4位となった。

 日本人ライダーの中上貴晶(LCRホンダ)は14位でフィニッシュし、ポイントを獲得。ヤマハはファビオ・クアルタラロが9位に入った。

 なおカタルニアGP決勝での勝利で、バニャイヤはランキングで2番手へ浮上。マルケスが3番手に続いている。