韓国ドラマで朝鮮王朝の国王を演じるのは、ほとんどが年配のベテラン俳優である。その一方で、若き世子はイケメン俳優が扮するのが定番となっている。そういう図式が定着している中で、珍しく国王を若きイケメン俳優が演じることもある。その代表的なものが、『王になった男』と『ヘチ』と『赤い袖先』である。
『王になった男』は光海君(クァンヘグン)とソックリな道化師がやがて国王になっていくというドラマであり、1人2役を演じたのがヨ・ジングだった。
彼は子役から演技力が素晴らしいことで定評があったが、大人の俳優になってからも順調に主演作を増やしていた。その中でも『王になった男』はまさに会心作だった。
このドラマの主役を演じた時はまだ22歳。これほど若かったのに、風格すら感じさせた。結局、光海君が国王になって民衆のための政治を行うという物語にはロマンがあった。そういう意味で、若き天才俳優のヨ・ジングが『王になった男』を演じたということは画期的だった。
『ヘチ』は英祖(ヨンジョ)が主人公になっている。英祖というと、朝鮮王朝の27人の国王の中で一番長寿だった人であり、彼が韓国時代劇に出る時はほとんど晩年の姿になっている。それゆえ、老年に達した俳優が演じることが多いのだが、『ヘチ』は若き日々の英祖を描いているので、チョン・イルが颯爽と演じた。

抒情的に描かれる究極の愛

このドラマは英祖が苦労して国王になる過程を描く。さらに、国王になってから政治的に力を発揮していく様子も登場するが、やはり若い英祖というのは本当に新鮮だった。また、それをチョン・イルという華がある男優が演じたことで、英祖のイメージを一新する効果があった。
『赤い袖先』はジュノ(2PM)がイ・サンに扮していて、彼が前半の世子時代と後半の国王時代を重厚に演じていた。特に、イ・セヨンが扮した宮女ソン・ドギムとの究極の愛が抒情的に描かれていて、イ・サンという国王を演じたジュノの演技が本当に良かった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)