令和のPTA事情

 新学期が始まり、PTA活動が本格的に始まった学校も多いのではないでしょうか。このシーズンになると“PTA不要論”がネット上に浮上し賛否の議論が交わされます。令和の時代に本当にPTAは不要なのか、2年間PTA本部役員を務めた筆者の経験も交えて考察してみました。

 昨今のPTAの不要論を受けて、会員の意向を知るべくアンケートを行ったりPTA入会届を導入している学校が増えています。その中で聞こえてくるのは、「共働きで活動に協力する時間がない」「強制はやめてほしい」の声が圧倒的多数です。

 私は、住んでいる市のPTAが集まる役員会議に数回出席しましたが、「全児童への入会届を導入したところ加入者はわずか2割ほどだった」という学校もありました。そんな実情を受けて、まだ少数ではありますがPTAを廃止する学校も出てきています。

令和のPTA事情

 全体的な流れとしてはPTA活動は縮小の傾向にあり、活動への参加も個人の自主性を尊重するものになってきています。新しい取り組みを始める学校も多い中ではありますが、SNSではいまだに入会や活動への参加が強制的であることに疑問を投げかける声も多くあります。

コロナ禍と時代の変化に対応するPTA

コロナ禍を経験し、PTA活動もそれ以前と活動内容を変えた(減らした)学校は多いはずです。会員の負担を少なく活動できるよう、最も敬遠される「強制」に目をつけている学校は多いでしょう。

 私の住んでいる市でも強制を排除すべく、多くの学校が「できる人ができる活動をする」方向へ舵を切っています。あらかじめ人数を充てるのではなく、集まった人数でできることをやるスタイルです。

「PTA活動は本来ボランティアなのだから、こうあるべき」
「今までは、作業に参加した人としなかった人の不平等を埋めるための無駄な作業があった。できる人がやるスタイルにすれば、お互いに不満がなく気持ちよくいられる」
などの声があり、強制をなくすと想定以上に人が集まることが多くなりました。

 このように、活動そのものはこのように緩くなりつつありますが、役員選出に関してはまだまだ課題は多そうです。

悩む保護者のイメージ

PTAの必要性とは?

X(旧ツイッター)では、PTA不要論としてこういった声が挙がっていました。
「PTA強制加入は法律違反。でも非加入が増えると不公平感……。いっそまとめて無くすのが一番では? 」
「PTA組織自体が時代遅れで解体しちゃった方が楽だと思います。学校もヘンにPTA作業に期待しちゃってるのもオカシイ」
など、強制的加入が当たり前の雰囲気、人間関係、家庭の事情が考慮されないなどの声が見られました。

 一方で、必要論の中にはこういったものも。
「PTA不要論とかみるとさ、こういうブラック校則的なやつとか学校側と全面対決するような時に、個人では戦いにくいから程々に組織は継続しといたほうがいいなと思うんよね」
「PTAがないと問題があったとき個人 vs 学校という形になり、いじめや特に教員の不祥事がもみ消されやすくなるという話も聞いたから、教員が言うPTA不要論は利己的な誘導だと思える笑」

 PTAは「面倒なもの、煩わしいもの」というイメージがあるかもしれませんが、何か問題が起きた時に「保護者の声を束にして届けやすい」側面が大きい組織でもありますね。

 もう一つの機能として、学校側が新しい試みをする際に保護者の意見を求めることがあります。まずPTA側から見た意見を聞いて改善策を練り、全保護者に提案する大事なワンクッションにもなるのです。

 我が校でもPTA廃止論は出ましたが、学校や地域との連携の観点から「委員会活動は縮小しボランティア化していくが、窓口としてのPTA本部は無くせない」との声が多く聞かれました。

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 新年度に見かけるPTA活動の代表に、「旗振り・見守り・パトロール」があります。SNSで、ある保護者は、

「付き添い登校初日。正直 今日まではPTAいらないと思ってたけど今日付き添い登校してみて考えが変わった!信号の無い横断歩道に地域の人が立っててくれるから安心して道を渡れる」

「SNSの世界にいるとPTAいらない派が多いのかと思っていたけど現実世界には任意加入になっても相当数の加入者がいることがわかった」

など、SNSの声と現実との違いに驚く声も見られました。

 本当にPTAは廃止するべきなのか……。変化の激しい令和の今、求められるPTAのあり方や必要性に応えていく必要がありそうです。

(yorinami)