今年7月の『フジロックフェスティバル』に初出演することが話題となった、シンガーソングライターの大貫妙子。日本のポップミュージックにおける女性シンガーソングライターの草分け的存在として、70年代から現在まで第一線で活躍してきた。

昭和世代なら、大貫が山下達郎らと結成した伝説的バンド、シュガー・ベイブの『DOWNTOWN』を『オレたちひょうきん族』のエンディングテーマ曲(EPOがカバー)として、それとは知らず耳にしていた憶えがあるのでは?

シュガー・ベイブの延長上にジャズやソウルのエッセンスを取り入れたファーストアルバム『Grey Skies』、和製ニューソウルとの評価も高い『SUNSHOWER』、坂本龍一と加藤和彦がアレンジ参加したヨーロピアンな『ROMANTIQUE』、ブラジル音楽に傾倒した『TCHOU』、フレンチ路線へと回帰した『ATTRACTION』など、長いキャリアのなかでエッジの効いた音楽性を次々に開花させた大貫だが、一貫して変わらないのが、水彩画のようと称される歌声だ。

スタイリッシュで都会的なサウンドと、儚くメランコリックな陰りを帯びたボーカルのマッチング。そして東京の街の賑わいと孤独を体現した詩世界は、言葉の正しい意味でのシティポップを体現している。

近年、海外発の日本のシティポップブームで過去の音源が再注目され、あらためて大貫妙子の国内外での評価が高まっており、若い世代のファンが急増したことから、フェスの類にも精力的に出演しているのはうれしい限り。

そんな彼女が7月、東京と大阪でコンサート『ピーターと仲間たち 2024』を開催する。オリジナルマルチトラックからのサウンドや、シークェンサー、シンセサイザーを使用した楽曲を中心とした内容で、2023年におこなわれた東京2公演のチケットはソールドアウトとなった。めったに聴けない内容だけに、気になる人は早めのチケット入手がベターだ。

大阪公演は7月6日・夕方5時から「Zepp Namba」にて。料金は全席指定1万1000円(ドリンク代別途要)。一般発売は5月25日・朝10時から。

文/井口啓子