今年も夏の観光シーズンを迎えようというニューヨーク。そんな世界の人々を惹きつける国際都市が、ある「異常事態」に瀕していることをご存知でしょうか。今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、ニューヨークのホテル料金が高騰している理由を解説。その上で、同市やバイデン政権の不法移民政策に対して懐疑的な目を向けています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:高騰するニューヨークのホテル価格

高騰するニューヨークのホテル価格

ニューヨークの平均宿泊料金が1泊4万5,000円になり過去最高となりました。

好景気で観光客で溢れているのでしょうか?

違うのです。

ご紹介するのは、ニューヨークタイムズ5月25日に掲載された記事です。

ニューヨークのホテルの平均宿泊料金は301ドルで、過去最高を記録している。その大きな理由とは

ホテルの5軒に1軒が避難所となっており、観光客の宿泊施設不足に拍車をかけている。

かつては高級ホテルだったところから、より質素な施設まで、何十軒ものホテルが観光客の立ち入りを禁止し、市と数百万ドルの契約を結んで移民だけを保護し始めた。

ホテルは何万人もの亡命希望者にとって安全な避難所となった。

ニューヨークの観光シーズンのピークが始まろうとしている今、移民危機はニューヨークのホテル事情を劇的に変化させた。

市内にある約680のホテルのうち約135がシェルター・プログラムに参加している。

その多くは観光客を惹きつける伝統的な場所に集まっている。

ミッドタウンのホテルには、劇場街の真ん中にある4つ星ホテル、ロウ・ニューヨーク・ホテルや、グランド・セントラル近くで100年以上の歴史を持つルーズベルト・ホテルなどがある。

2022年後半から、市はホテル業界団体と最大9億8,000万ドル(約1,470億円)の契約を結び、「サンクチュアリ・ホテル・プログラム」に基づいて移民を保護することを決定したホテルに報酬を支払う。

市当局によると、ホテルは部屋が埋まっているかどうかにかかわらず、1部屋1泊139ドルから185ドルを受け取り収入が保証される。

約6万5,000人の移民がホテル、テント寮、その他のシェルターに保護されているが、その理由はベッドを必要とする人にベッドを提供する市の法的義務である。

市は、移民危機に3会計年度で100億ドル(約1兆5,000億円)を費やすと予測している。

参加ホテルで従来のホテルに戻ったホテルはひとつもない。

解説

アメリカには不法移民に対して寛大な政策をとるサンクチュアリ・シティ(聖域都市)があります。

これらの都市は不法入国者の取り締まりを行う捜査機関である移民・税関執行局(Immigration and Customs Enforcement, ICE)の協力要請を受けません。

有名なのはニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴなどです。

特にニューヨークには「シェルターへの権利」という、屋根のない人は誰でも市からシェルターを借りる権利があるという条例があります(2023年8月27日メルマガ解説)。

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当然、不法移民が大量に流入してきます。テキサス州のようにバスや飛行機で不法移民をニューヨークに送り込む州もあります。

それでニューヨーク市内のホテルの5分の1がシェルターに使われているというのです。

もはや戦争のようです。

毎年5,000億円の支出などとんでもない事です。一般市民からの大きな批判もあります。

民主党のエリック・アダムス市長もこの状況に困って、成人の移民を30日または60日後に市のシェルターから強制退去させる方針を決めました。

しかし追い出された(不法)移民はどこに行くのでしょうか?

ビザを申請して許可された合法移民は、正式な仕事もありますし財政基盤もしっかりしています。

しかし不法移民・難民には何もないのです。ギャングが甘い言葉でつけむでしょう。負の連鎖、拡大再生産です。

このままの状況が続けられない事は子供でも分かります。

バイデン大統領に課された大きな十字架です。

PS

例によって、新聞は「移民」と「不法移民」をごっちゃにして使っています。

「不法移民」という言葉は適切でないとう配慮もあってです。

しかし、合法移民は正式な仕事がありますから収入があります。シェルターの必要はありません。

ニューヨークのホテルに滞在しているほとんどは不法移民(一部は難民)でしょう

 

(『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』2024年5月26日号より。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)

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