ゴールデンウィーク本番となった5月3日から5月5日の全国映画動員ランキングが発表。例年にも増して圧倒的な強さを発揮している「名探偵コナン」シリーズ最新作『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』(公開中)が、今週も他作品を突き放す圧勝劇を展開。見事に4週連続No. 1でGWを駆け抜けていった。

■シリーズ最速&2作連続で興収100億円を突破!

公開22日目に当たる5月3日の時点で、昨年の『名探偵コナン 黒鉄の魚影』(23)よりも2日早く興行収入100億円の大台を突破することに成功した『100万ドルの五稜星』。この週末3日間での観客動員数は113万人、興収は16億2700万円と、公開4週目にして動員、興収ともに前週比120%という驚異的なジャンプアップを遂げている。

GWの最終日となった5月6日を含めた累計成績では、動員845万3000人、興収120億9900万円に到達しており、すでに日本歴代興収ランキングでは『風立ちぬ』(13)を抜き去り31位まで浮上。これはもうシリーズ最高成績を収めた前作『黒鉄の魚影』の138億8000万円を超えることはほぼ確定的であり、目下の注目ポイントは「いつ前作を超えるか」「観客動員数1000万人を超えられるか」、そして「最終興収はどれだけのものになるのか」の3つに絞られた。

しかし、ここで超えなければならない壁は、例年GWを終えると大きな失速に見舞われるという避けがたいジンクスだ。昨年の『黒鉄の魚影』は、GW明け最初の週末で前週比39.6%の動員と同42%の興収に急降下し、そこからじわじわと下降線を辿っている。最終成績から逆算すると『黒鉄の魚影』はGW後の上乗せが動員250万人、興収35億円。その前の『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』(22)は動員199万人、興収28億8000万円。普通のヒット作以上に稼げてはいるが、“勢い”という面ではどうしたって落ち着いてしまう。

実際「名探偵コナン」がGW後の週末動員ランキングで1位を獲得した例は、2010年以降だと『名探偵コナン 絶海の探偵』(13)と『名探偵コナン ゼロの執行人』(18)の2回のみ。全体の水準がガクンと下がったタイミングで安定感のある洋画大作に逆転されるパターンや、あえてGWを避けて公開した新作に首位の座を譲るというパターンが目立っている。とはいえ例年以上の独走と、ライバルとなりそうな作品が少ない今年は、この“魔の5月”を無事に駆け抜ける可能性が相当に高そう。動員1000万人超えもあっさり実現しそうだ。

■『青春18×2』と『バジーノイズ』が初登場!
前週に2位に初登場を果たした『ゴジラxコング 新たなる帝国』(公開中)は、週末3日間で動員21万3000人、興収3億2000万円と、どちらも前週比69%の成績で2位をキープ。5月6日までの公開11日間の累計成績は動員85万7000人、興収12億6600万円と、動員100万人到達は目前。あとは前作『ゴジラvsコング』(21)の最終興収19億円に届くかどうか。

また公開12週目を迎えた『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』(公開中)が前週の6位から3ランクアップで3位にランクインし、4週ぶりにトップ3へ返り咲きを果たしている。GWに合わせるように第6弾入場者プレゼントが配布された効果もあり、週末3日間で動員15万7000人、興収2億2700万円を記録。5月6日までの累計成績では動員722万8000人、興収103億3400万円となり、まだまだその記録を伸ばしそうだ。

一方で今週は、新作タイトルが2本ランクイン。7位に初登場を果たしたのは、『余命10年』(22)の藤井道人監督がアジア圏で絶大な人気を博すシュー・グァンハンと清原果耶をダブル主演に迎えて初めて国際プロジェクトに挑んだ『青春18×2 君へと続く道』(公開中)。

台湾で話題を呼んだジミー・ライの紀行エッセイを原作にした本作は、18年前の台湾で日本人バックパッカーのアミと出会い恋心を抱いたジミーが、長い年月を経て、アミと交わした約束を果たすために日本への旅を決意する物語。共演にはジョセフ・チャン、道枝駿佑、黒木華らが顔をそろえ、台湾を代表する名優チャン・チェンがエグゼクティブ・プロデューサーを担当。藤井作品らしい繊細な映像美で紡がれる初恋譚に、口コミでは温かな賛辞が集まっている。

そして、社会現象を巻き起こしたテレビドラマ「silent」を手掛けた風間太樹監督らスタッフが再集結を果たし、JO1の川西拓実と桜田ひよりがダブル主演を務めた青春音楽映画『バジーノイズ』(公開中)は10位スタートとなった。

以下は、1〜10位までのランキング(5月3日〜5月5日)
1位『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』
2位『ゴジラxコング 新たなる帝国』
3位『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』
4位『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』
5位『変な家』
6位『陰陽師0』
7位『青春18×2 君へと続く道』
8位『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』
9位『オッペンハイマー』
10位『バジーノイズ』

今週末はSF映画の金字塔「猿の惑星」シリーズの新章の幕開けとなる『猿の惑星/キングダム』(5月10日公開)、人気メディアミックスコンテンツ「ウマ娘」の配信アニメに新規シーンを追加した再編集版『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』(5月10日公開)、乃木坂46の元メンバーである高山一実の同名小説をアニメ映画化した『トラペジウム』(5月10日公開)などが控えている。

文/久保田 和馬