カーボンニュートラル実現に向け地域を越えて太陽光発電の普及に取り組む長崎県内の企業をご紹介します。太陽光パネルの設置場所として目を付けたのは、広大な面積をもつ物流倉庫の『屋根』。これまで利用されていなかったスペースに新たな価値をもたらしています。

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千葉県にある物流倉庫。屋根に広がるのは約6,800枚の太陽光パネルです。設置したのは倉庫の運営企業ではなく、この屋根を借りた長崎県諫早市の企業です。

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産業機器や空調機器などの製造を手掛ける諫早市の「日本ベネックス」
今から12年前に再生可能エネルギー事業に参入し、太陽光発電所の設計や施工、運営を始めました。

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その中で目を付けたのが、それまで活用されていなかった自社工場の「屋根」でした。

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日本ベネックス小林洋平代表取締役社長:
「理想的な場所ということに気付きまして、元々有効活用されていなくて、ただ平らな広い面積があるので、これを太陽光として有効活用すれば非常にメリットがあるんじゃないかなと。諫早に工場があって、空いている屋根があると。自社の屋根であれば失敗しないだろうと思って始めたのがきっかけです」

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屋根に設置された太陽光パネルは約3,700枚。
1日平均で、一般家庭で使う電気の2か月分に相当する1,000キロワットを発電しています。このうち7割は自社で使用、3割は電力会社に売電し、年間およそ1,500万円の収益をあげています。

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日本ベネックス芥川隆執行役員
「自社発電所で発電した電気を用いて工場の設備を稼働しています」

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工場で24時間稼働する板金加工用のレーザー機械にも屋根で発電した電気が使われています。
工場で使う電気を太陽光発電で自給自足することで、以前と比べ年間およそ250トンのCO2排出削減につながっています。

電気自動車で電気を《貯める》

太陽光で発電した電気をより有効に活用しようと電気自動車も導入。
フル充電で百キロまで走行可能で、主に通勤や営業活動などに使われています。
電気を安定供給するための蓄電池も備えました。

日本ベネックス 芥川隆執行役員:
「これが電気自動車に使用されていた使用済バッテリーになります。電気自動車としては、もう使用できなくなった使用済バッテリーを、いわゆる蓄電池として再利用しています。これで約400キロワットアワーの電気を貯めることができます」

電気の使用量が多い時間帯に貯めた電気を使うことで最大電力を基本料金の範囲内に抑えられるため、経費削減につながっています。

日本ベネックス芥川隆執行役員:
「自社発電所、それから電気自動車、蓄電池で、いわゆる電気を《作る》《貯める》《使う》っていう3つのリソースが兼ね備えた工場」

日本ベネックスでは自社で培ったノウハウをいかして県外への進出も始めています。

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現在、関東をはじめとした全国24か所の物流倉庫を「屋根借り」して太陽光パネルを設置。日本ベネックスによりますと「屋根借り」による太陽光発電では国内最大規模だということです。

今後、長崎県内にも屋根を使った太陽光発電所を増やし「電力の地産地消」を目指す考えです。

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日本ベネックス小林洋平代表取締役社長:
「工場ですとか、住宅の屋根ですとか太陽光に向いているところが、まだまだ残っていると思うので、そういうところに太陽光をつけて、長崎で生み出した電気を長崎で使いつつ、他の県にも供給すると。我々もカーボンニュートラルに少しでも貢献できるようなそういう会社を目指していきたいなと思っております」

太陽光が生み出した電気を「作る・貯める・使う・売る」

地球に優しく、企業活動にも役立つ
諫早発の取り組みが、いま地域をの枠を越えて広がっています