住友化学は工場で無人搬送車(AGV)の運用を積極化する。大江工場(愛媛県新居浜市)で実証実験を経て屋外での本格運用に乗り出すほか、より高いけん引能力を持つトーイングトラクターのAGVの実証にも取り組む。物流の2024年問題などの課題に対し、AGVを活用することで運搬作業の負担軽減などにつなげる考えだ。

住友化学が本格運用を始めるAGVは、けん引能力1・5トンのゴルフカート型。今後は台車を付けるなどして、けん引能力をフル活用することを目指す。原料や製品、副資材を積載し、より効率的に運べるようにする。定期便のような仕組みづくりにも取り組む。24時間稼働する化学工場の特性上、将来はAGVで24時間対応ができる体制づくりを想定する。

まずは大江工場で運用実績を重ねつつ、他工場でも必要があれば展開することも視野に入れる。けん引能力が25トンあるトーイングトラクターのAGVも、費用対効果をにらみながら実証に取り組む。

23年度に屋外でAGVの実証実験を実施。運行にはデジタル地図を作成し、ルートや停留所を決めて自動で走らせるプログラムを構築した。関係各所の協力も得ながら、一定の成果を得たことから本格展開に乗り出す。

住友化学は19年から屋内でAGVの活用に取り組んできた。AGV関連の成果では、運搬業務時間の効率化などにつながったという。自動運転技術の進展によって、磁気テープなどを敷設する必要がないこともコスト面で導入を後押しした。