三菱重工業は南フランスで建設中の核融合実験炉「ITER(イーター)」向けに、重要部品である「ダイバーター」の構成要素である外側垂直ターゲット12基の製作を量子科学技術研究開発機構(QST)から追加受注した。順次製作を完了し、2026年からQSTに納入する予定。

21年に受注済みの6基に続いて新たに12基を受注したことで、全54基のうちQSTが発注済みの18基の製作を三菱重工が担う。同社は今後もダイバーターなど主要機器製作に取り組む方針。

ダイバーターはトカマク型装置を採用する核融合炉の最重要機器の一つ。プラズマを安定的に閉じ込めるため、核融合反応で生成される炉心プラズマ中のヘリウムなど燃え残った燃料や不純物を排出する役割を担う。

ダイバーターの熱負荷は1平方メートル当たり最大20メガワット(メガは100万)で、小惑星探査機が大気圏突入の際に受ける表面熱負荷に匹敵し、スペースシャトルが受ける表面熱負荷の約30倍に相当する。

構造上プラズマに直面する外側垂直ターゲットは、プラズマからの熱負荷や粒子負荷などにさらされる厳しい環境で使われる。そのため構造体は複雑な形状を持ち、高精度の製作・加工技術が要求される。


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