<中日0−1阪神>◇15日◇バンテリンドーム

阪神今季3度目の1−0完封は、岩崎優投手(32)のリベンジセーブで締めた。近本の勝ち越し打で虎の子の1点をゲットした延長11回。しびれるラストイニングを任された守護神が、名誉挽回に成功した。

「前回の反省があったので…」。苦い記憶と向き合っていた。11日のDeNA戦(横浜)で2点リードの8回に登板したが四球から大崩れ。蝦名に同点2ラン、筒香に決勝ソロをたたき込まれ、悪夢のイニング途中KOを味わった。

4日ぶりに巡ってきたリベンジの機会。先頭カリステに、1ストライク後にまさかの4連続ボール。またも四球を与えてしまったが、百戦錬磨の左腕は慌てなかった。最も怖い細川を打席に迎えると、何度も一塁にけん制球を入れてリズムを整え直した。チェンジアップを低めに連投すると直球で遊ゴロ。代打中島は右飛、最後は石川昂のバットを完璧なチェンジアップで空を切らせた。本塁打も長打も許されない場面で、失投はゼロ。それでも口をついたのは反省だった。

「(今日も)フォアボールがあったので。ちょっと四球に対して考えすぎてしまったかなと。そういったところをもう1回整理して、マウンドに上がりたい」

ダブル守護神のゲラと肩を並べる6セーブ目。2人が同一ゲームで登板した試合は12勝4分けの「不敗神話」も更新した。7回無失点の先発大竹からゲラ、石井、島本とつないだ「0」のバトンをつなぎ切った。

「決まりごとは少ない方がいいんですよ。単純にそっちの方が楽じゃないですか?」。セットアッパー、クローザーを務めて8年目になるが、神経をすり減らす毎日を乗り切るために無駄を省く。ルーティンは一切なし。打たれても験担ぎはしない。シンプルに、体と心を万全に整えて、マウンドに向かう毎日を繰り返してきたからこそ、2試合連続で崩れることはない。頼れるベテランが力強く健在を示した。【柏原誠】