セレッソ大阪小菊昭雄監督(48)が5試合ぶりの勝利を目指し、次節11日の大一番、ヴィッセル神戸戦(ヨドコウ)に臨む。

クラブ設立30周年の今季は目標をリーグ初優勝に定め、開幕から2度も首位に立ったが、現在4戦勝ちなし(2分け2敗)で5位まで後退。前半戦の正念場を迎えている。

大阪ダービーに敗れた前節6日の試合後、指揮官は会見で言った。

「ボールを大切にしながら前進していく私たちのスタイルを極めていきたい。ぶれることなく成長し続けていきたい。この敗戦で選手はショックを受けていたが、もう1度、ぶれずに強くなるチャンスだと思う」

大阪ダービーではDF登里享平(33)とDF毎熊晟矢(26)の両サイドバックが負傷交代。ともに太もも裏の肉離れとみられ、関係者によると決して軽傷ではないという。

既に3トップ左のMFカピシャーバ(27)も故障離脱しており、今季の躍進の生命線を担ってきた3人がいない。

それでも21年8月に就任した指揮官は、自分を責めたことはあっても、弱音やマイナスの言葉を吐いたことがない。その理由を以前に1度、聞いたことがあった。

「僕のコメントは当然、いろんな選手やサポーターが見るわけです。当然負ければ僕も悔しいし、へこむことはあるが、そういう時にこそ、自分がしっかりと前を向いて、顔を上げて次に進む姿勢を示さないと。しっかりと背中を示さないといけない」

その哲学の基礎は、過去4度もC大阪で監督を務めたブラジル人のレビークルピさんの影響もあった。名伯楽の下で、コーチとして学んだ経験は大きかったという。

「シーズン中には、選手にけがやアクシデントがある。あの人は苦しくなった時こそ、言動はいつも明るく、笑顔でポジティブだった。(21年8月に途中退任した際も)わざわざ(コーチだった)私を呼んで、笑顔で『小菊、人生を楽しめ』と言っていただいた。その言葉を、心に刻んでいます」

足踏みが続くC大阪だが、開幕から5勝5分け2敗の5位は、決して悪い成績ではない。幸いにも、今季の大混戦はC大阪にとっては好都合だ。

クラブもU−23インドネシア代表DFジャスティン・ハブナー(20)のパリ・オリンピック(五輪)予選大陸間プレーオフ(9日、フランス)への再派遣を断り、11日の2位神戸戦、15日の首位FC町田ゼルビア戦への援護を行った。

U−23日本代表DF西尾隆矢(22)も、五輪予選を経て約1カ月ぶりの出場へ準備を整えている。

昨季王者でここ5試合で4勝1敗と調子を上げている神戸に、小菊監督はどう立ち向かっていくか。逆境だからこそ生まれる力に注目したい。【横田和幸】