フィギュアスケート男子で10年バンクーバー五輪銅メダルで、アイスダンスでも活躍した高橋大輔さん(38)が、宇野昌磨(26=トヨタ自動車)の引退発表を受けて、愛情深いメッセージを寄せた。幼少期から憧れの存在として慕われ、表現面でも理想像とされてきた。

愛すべき後輩の節目に思うこととは−。

−引退の報を受けて

僕自身も、発表の前には昌磨からお話は聞いてたんですが、僕も次のイタリア(26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪)までやると思っていたので。正直びっくりはしたんですけど。彼なりの考えがあっての引退だったと思うので、この先はどんなことをしていくのかなというのが楽しみなのと、長い現役生活お疲れさまでしたという気持ちです。

−五輪を節目にしないところが宇野選手らしいです

彼は自分の中に1つ強いものがある人間だなというのは、小さい時は本当にかわいらしかったんですけど、成長していくにつれて、自分が思い描くものはすごく強いなと感じていたので。五輪ではなく、自分自身の区切りとしてここを選んだのは、それなりの考えがあったんだろうなと感じてます。

−小さい頃、浅田真央さんに誘われて始め、家では高橋選手のオペラ座の怪人を何度も見て、こういう選手にと憧れていました

小さい時はそういう感じであったと思うんですけどね。ひと回りも離れてますから。そんなに来るわけではないので(笑い)。スケートに対する思いは小さい時からあったと思うので。彼のあこがれの1人になれたことはすごくうれしいなと思ってますね。

−スケーターとしてどんな所が魅力でしたか

スケートの力強さというところかな。馬力を感じるというか。スケーティングスキルがきれいな方もいるんですけど、まだまだ滑れるというか。(フリーの)4分間が終わっても、まだもう1本くらい4分間できるんじゃないかなというくらい、最初から最後までパワーが落ちないスケートをずっとしているなと。僕はそういうことはできなかったですし、それがずっとできるのはかなりすごいなといつも思っていたので、そこかな。

−五輪で結果を残したいなどではないモチベーションを持っていて、ただその中でも五輪でメダルを2つ手にしました

彼独特の感性はあって。それぞれ独特なスケーターばかりなんですけど、その中でも他とは違う彼なりのもの、考え方もスケートもあるからこそ、たくさんの方が応援して、目に留まって応援して魅力的に感じて。それを周りにブレることなく、なかなかブレずに体現する、実行するのは難しいと思うんですけど、若いときからできていた人だなと思っていたので。そういう強さが結果につながったと思っています。いつも尊敬してますね、僕にはできないなと思って見てますね。

−日本男子のバトンをリレーつないでくれた1人でもあると思います

本当にそうですね。羽生結弦君からね、その後に昌磨。とくに「羽生結弦」という存在はすごく大きかったと思いますし。そこに向かっていったり。どうしても結果として比べられることもあって。言わないですけど、悔しい気持ちや追い越したい気持ち、いろんな気持ちがあったでしょうけど、小さい時から期待されて、プレッシャーに押しつぶされずに着実に成長していけたのは本当にすごいなと思いますね。

−昨季が始まるくらいから、葛藤を公言されてました。演じる意欲が増してました

本当に小さい時からずっとやってきているので、僕自身もありましたけど、現役から一度、体も精神面も一緒の位置にいないと現役をするのは厳しい。それぐらいギリギリのところで現役をやっているので。まあ、僕も1回復帰しましたし、1回は復帰できますので、違う世界に足を踏み入れてみて、また感じることも変わってくると思います。ただ、ショーなどは続けていくということで、彼の中で、いままでずっと、同じ事をしてきたので、離れてから彼自身がどのように気持ちが変わっていくのか、どういろんなものを感じていくかで未来は変わってくると思うので。一度は引退しましたけど、もしかしたら(復帰も)あるかもしれないですし、見守っていきたいですね(笑顔)。

−今後の共演は

アイスショーで一緒に滑るというのはありますね。

−競技者時代とは違って、プロとしての話は

1回ご飯行きたいですね。行ったことないんです、昌磨と。現役は誘いにくい部分もあって。1回くらい付き合えよって言えるかな(笑い)。