◆九州六大学野球春季リーグ戦優勝決定戦 福岡大9―3北九大(25日、福岡市・今津運動公園野球場)

 決定戦にもつれこんだ優勝争いは福岡大が追い上げる北九大を突き放し、2季連続62度目のリーグ優勝を決めた。首位でスタートしたがリーグ終盤で一時西南大に逆転された。「崖っぷちからよく我慢して、粘ってくれた」。2敗目を喫して後がない状態から決定戦まで3連勝。堀壮太監督は最後まで優勝を諦めず戦った選手をたたえた。

 大事な1戦を任されたのはやはり、2年生右腕だった。リーグトップの6勝を挙げた朝吹拓海(2年・神村学園)が先発。7回までに10安打を許しながら中盤の3失点でこらえリードを守った。三冠王に輝いた相手4番の石橋昂樹(4年・宗像)には徹底して内角を突く投球を見せ、4打席で安打を許さなかった。

 完投した21日の西南大戦から中3日での登板になったが「疲労も抜けて準備はできていました。あまり集中しすぎるとダメになるので、堀監督からも楽に投げろと言われていました」。3回以外は毎回走者を出したが、走者を背負ってからの粘り強さが朝吹の持ち味でもある。「ピンチでも動じない。いつも同じような投球ができるのが良いところ」と堀監督も度胸満点の2年生に信頼を置き、リーグ戦では初戦を任せてきた。

 昨秋からベンチ入りし2勝を挙げたが7回無死まで投げたのが最長だった。今季は7試合に登板して4試合で完投。久留米大戦ではリーグ戦初の完封勝利もあげた。「秋は5回ぐらいまでしかもたなかったので、春に向けて体力をつけるためにトレーニングやフォームの改良をしました」。トレーニングの成果で昨秋まで143キロだった球速は147キロに伸び、球に力が出てきた。優勝が懸かるシーズン終盤の2試合で完投した。最優秀選手賞も獲得し「うれしいです」と初タイトルを喜んだ。

 全日本大学選手権では東京ドームでの初戦で九産大(福岡六大学)と対戦。毎年リーグ戦開幕直前にオープン戦を行い最終調整を行ってきた相手だ。「オープン戦では5回を投げて3失点してしまった。東京ドームという舞台でどれだけ投げられるか。今度は真っ直ぐでおしていきたい」。リーグ戦で自信をつけた伸び盛りの2年生右腕は、2カ月の急成長を見せライバルに雪辱するつもりだ。(前田泰子)