フランスで14日から開催されていた「第77回カンヌ国際映画祭」の最終日、現地時間25日にコンペティション部門の受賞結果が発表され、『憐れみの3章』のジェシー・プレモンスが男優賞を受賞した。

 同映画を監督したヨルゴス・ランティモスが、カンヌ国際映画祭に招かれるのは今作で4度目、過去3度に渡ってすべて主要な賞を受賞(※)していたが、無敗記録を伸ばすことになった。

 現地時間17日にワールドプレミア上映された際には、ランティモス監督に加え、エマ・ストーン、ジェシー・プレモンス、ウィレム・デフォー、マーガレット・クアリー、ホン・チャウ、ジョー・アルウィン、ママドゥ・アティエ、ハンター・シェイファーらキャスト陣が集結。華やかなレッドカーペットを飾り、上映後にはスタンディングオベーションに沸いた。

 本作でプレモンスは、選択肢を奪われ、自分の人生を取り戻そうと格闘する男、海で失踪し帰還するも別人のようになった妻を恐れる警官、卓越した教祖になると定められた特別な人物を懸命に探す女の相棒――という3つの独立した物語の中で、最重要となる人物3人を見事に演じ分けていた。

 本編をいち早く鑑賞した批評家たちからは、「『憐れみの3章』は大胆不敵な選択を厭わない監督の、注目せずにはいられない最新作だ」(The Playlist)、「ランティモスとフィリップ(脚本)は、気まぐれな神々が人間の無防備な運命を操るように、主人公たちを翻弄する」(ファイナンシャル・タイムズ紙)、「この映画が仕掛けた心理ゲームの中で、選び抜かれた俳優の演技の幅が歓びをもたらす」(デイリー・テレグラフ紙)、「じっくり観れば観るほど、パズルのピースがはまり始め、共通のテーマが浮かび上がってくる」(ハリウッド・レポーター誌)と作品への絶賛の声が上がり、プレモンスの男優賞受賞に大きな期待が集まっていた。

 なお、同映画の日本公開日は9月27日に決定した。