霊が出るとうわさされている場所や怖い現象が起きる場所は、「心霊スポット」と呼ばれています。ネット上では、廃業や廃校で廃虚となったホテルや校舎などが心霊スポットとして紹介されており、実際に肝試しの目的でこうした場所に行く人がいるようです。

 ところで、心霊スポットとして有名な建物に無断で立ち入った場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

軽犯罪法違反に該当する可能性

Q.「廃虚となったホテル」など、心霊スポットとして有名な建物に無断で侵入した場合、法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。

牧野さん「『人の住居もしくは人の看守する邸宅、建造物』へ無断侵入する場合には、『正当な理由がないのに、人の住居もしくは人の看守する邸宅、建造物もしくは艦船に侵入し、または要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者』に該当します。

この場合には、住居等侵入罪(刑法130条)として、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科される可能性があります。

『廃虚となったホテル』のように、『人が住んでおらず、かつ、看守していない邸宅、建物』の場合でも、『人が住んでおらず、かつ、看守していない邸宅、建物または船舶の内に正当な理由がなくて潜んでいた者』に該当するため、軽犯罪法により拘留または科料に処される可能性があります」

Q.人が住んでいない建物に立ち入ると、なぜ軽犯罪法違反に該当する可能性があるのでしょうか。

牧野さん「軽犯罪法の目的は、その行為自体が刑法犯ほど重大でなくても、重大犯罪に発展する恐れのある軽微な行為を処罰することにより、重大犯罪を未然に防止することです。廃虚となった施設への立ち入り行為も、重大犯罪に発展する恐れがあるため、処罰される傾向にあります」

Q.廃虚となった建物内の設備を壊した場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか

牧野さん「建物内の設備の所有者がいる場合には、他人の物を損壊したとして、器物損壊罪(刑法261条)が成立し、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料が科される可能性があるでしょう」

 軽い気持ちで心霊スポットに無断で立ち入ると、罰則を科される可能性があるだけでなく、事故の危険性もあるため、絶対にやめましょう。