Greg Torode Guy Faulconbridge

[香港/モスクワ 15日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領が16日、通算5期目に入って初の外遊先として北京を2日間の日程で訪問する。最強の政治的パートナー、中国の習近平国家主席からの支持を内外に示すのが狙いだ。

ロシアが2022年にウクライナに侵攻後、米国が及ぼす圧力に反抗し、両氏の誇る「制限のない」協力関係を強調すると予想されている。プーチン大統領は李強首相と経済関係で協議するほか、ロシアの影響が強い東北部ハルビンを訪れる予定だ。

外交官やアナリストの見方では、プーチン大統領は軍需産業を支える機械や化学製品から、安値の石油やガスの輸入に至るまで、ロシアの戦争経済への一段の支援を習主席に求めそうだ。ただ、今回の訪問はこうした支援要請にとどまらず、米国主導の世界秩序に対抗する世界観の共有を強く象徴するものとなりそうだという。

ロシア政府関係者は「中国はロシアの戦略的パートナーだ。これはロシア大統領と中国指導者が選んだ道であり、西側諸国が何を言おうと何をしようと、それは何も変わらない」と話す。

ただ、ロシアのウクライナ侵攻後、中国はロシアの継戦努力に対し武器や弾薬の形で支援することを避けている。

しかし、シンガポールのS・ラジャラトナム国際問題研究大学院の安全保障研究者ジェームズ・チャー氏は「中国はプーチン氏を迎えるという行動自体が既にロシアを支援する形になっている」と述べた。また、中国には米国主導の世界秩序を覆し、地政学的な覇権を得るという戦略があるため、「米国と長期にわたって対峙するためロシアを味方につける必要がある」と話す。

ただ、東西冷戦時代に両国は共産圏にありながら対立した過去があり、相互不信感が今も根強いという。ロシア政府高官は自国が中国に向けて「資源を供給するだけの付属物」に成り下がると懐疑的な声が政府内で出ていると明かした。