ヨーロッパでBROSのVツインは鉄フレームのシャフト駆動でミドルクラスSTDスポーツでファンを獲得!

ご存じホンダのテイスト路線で名を馳せたBROS。1983年のアメリカン向け52°位相クランクVツインを、オンロードスポーツ仕様としたNV400SPが、ここを起点にまさかの30年ストーリーが展開されていったのだ。 BROS(ブロス)は車名に排気量を表示せず、650ccバージョンをプロダクト1、400ccバージョンはプロダクト2と呼び、4気筒勢のパフォーマンス一本槍な流れに嫌気したマイノリティファンを惹きつけた。

このBROS、海外ではマーケットのニーズに合わないと、アメリカ向けにNT650 Hawk GTという車名で少数が輸出されたが、ミドルクラスには刺激の少ない実用的な機種がウケるヨーロッパへ向け、NTV600(保険や免許でパワーを抑えたカテゴリー)とNTV650が、BROSをベースにフレームをアルミツインチューブかたスチール製に部材を変え、何と駆動をチェーンではなくNV400以来のオリジナルだったシャフトドライブとしたモデルが輸出されることとなった。

REVERというペットネームが与えられたこのシリーズは、BROSの79×66mmで647ccだったのが、600バージンではボアを75mmへ縮小、吸気に2バルブで排気側で1バルブの燃焼室が3バルブの構成はそのまま引き継がれていた。 ただヨーロッパでの使われ方から燃料タンクがBROSの12Lが19Lへと大幅に容量を増やしている。

このVツインならではのスリムでコンパクトな仕様は、メンテナンスフリーでヨーロッパでは評価の高いシャフトドライブだったこともあり、日本ではBROSが1988年から1990年までの短期間だったのに対し、1988〜1997年と10年近くも需要があった。

ミドルクラスのスポーツツーリングがブームになり豪華仕様の700ccスーパーツアラーへと進化!

ヨーロッパではEU圏内での利便性が高まった道理事情も含め、ビッグバイクでしか行けないイメージだったのが、ミドルクラスでも遠くへと足を伸ばすツーリングがブームとなりつつあった。 日本4メーカーもこれに対応した機種の投入をはじめたが、ホンダは1998年にこの650Vツインをベースに、パニアケースからボディと一体化したデザイン構成のNTV650 Deauvilleをリリース、2005年まで生産された。

このミドルクラスでも豪華仕様でいかにもロングツーリングへタンデムで出かけるパッケージが人気となり、タンデムに荷物を満載するとさすがにやや非力といわれたこともあって、2006年には排気量をボアを81mmまで拡大し、バルブ数も3→4バルブとした680ccのNT700V Deauvilleをリリースした。

4バルブ化で48.3kW/8,000rpm、66.2Nm/6,500rpm、車重が254kg(乾燥で236kg)は、力強さはないものの装備とコストが見合った機種として評価されていた。 日本ではこうした使われ方がまだ多くはないものの、高速道路を使っての長距離ツーリングも徐々に増えつつある。 現在はまだリッタークラスのビッグバイクだけのカテゴリーといったイメージだが、ヨーロッパで鍛え上げられた実績をもつ日本メーカーの製品に、いずれは注目が集まる日がやってくるのだろう。