大相撲夏場所千秋楽(26日、両国国技館)新小結大の里(23)が関脇阿炎(30)を押し出し12勝3敗で初優勝を果たした。初土俵から所要7場所での制覇は、幕下付け出しでは輪島の15場所を大きく更新する最速記録。付け出しを除いても先場所の尊富士の10場所を上回った。

入幕3場所目の大の里は1横綱2大関が休場する場所で奮闘。大きな体格を生かした攻撃相撲が光り、新たなスター候補に名乗り出た。新三役での優勝は67年ぶり。石川県出身力士の優勝は平成11年名古屋場所の出島以来3人目。能登半島地震に見舞われた被災地へ明るい話題を届けた。

NHKでテレビ解説を務めた舞の海秀平氏(56)=元小結=は「横綱だった輪島さんが生きてたら喜んでたでしょうね。輪島さんは左の下手狙いで相撲を取ってましたけど、大の里は右の下手狙いですから相撲を教えてほしかったですね」と大の里と同じ石川県出身の第54代横綱輪島で、史上7位となる14度の幕内優勝を果たした故輪島大士さんに思いをはせていた。

■輪島 大士(わじま・ひろし) 本名・輪島博。第54代横綱。昭和23(1948)年1月11日生まれ。石川・七尾市出身。金沢高で国体を制し、日大3、4年時に学生横綱。45年初場所幕下付け出しで初土俵。同年夏場所新十両、46年初場所新入幕。47年夏場所、関脇で初優勝。秋場所後に初代貴ノ花とともに大関に昇進、48年夏場所に全勝優勝で横綱に昇進、横綱北の湖と〝輪湖時代〟を築いた。56年春場所中に引退、花籠部屋を継承した。60年に「年寄名跡担保事件」を起こして12月に廃業。61年に全日本プロレス入団し、63年に引退。アメリカンフットボールチームの総監督、タレントなどで活躍した。幕内通算成績620勝213敗85休(62場所)。生涯通算673勝234敗85休(68場所)。優勝14回(歴代7位)

■舞の海 秀平(まいのうみ・しゅうへい) 本名・長尾秀平。昭和43(1968)年2月17日生まれ、青森県出身。木造高―日大を経て平成2年、出羽海部屋に入門。同年夏場所幕下付け出しデビュー。3年春場所新十両。同年秋場所新入幕。最高位は小結。幕内通算241勝287敗12休、技能賞5度。11年九州場所で引退。