ゴールデンウィーク真っ只中、一時1ドル160円台に突破した為替相場。“歴史的円安”といわれる状況もあり、SNSのタイムラインには「観光地の水が500リットルで千円以上!!」「ランチが日本円で1万円以上した」など、海外旅行に出た人からの数々の“悲鳴”が並ぶ。そんな現状から、この連休も海外旅行を控える人が多いのでは…と思ったが、実際にはそうではないようだ。この度「TimeTree未来総合研究所」が発表した調査レポートでは、5月の連休に「海外旅行予定」という人が昨年比で161%アップという結果が報告され、その傾向を明確に表している。

5月に「休暇予定」をしっかり入れる人は年々増加傾向

「昨年5月は新型コロナウイルスが5類感染症へ移行した節目の月でした。長らく続いたコロナ禍では、移動時の感染リスクに対する不安や出入国時の手続きの煩雑さから、旅行先としては「安近短」の条件が揃った国内が選ばれることが多くなっていましたが、そこから1年が経ち、長らく行けなかった海外旅行への思いと3~4日の比較的短い連休でも行ける場所、かつ円安という条件が重なった結果、国内と同程度の予算で行ける、近場の海外旅行の大幅な需要増加に繋がったものと考えられます」

今回の調査結果を受けて同総研所長の深川泰斗氏はそうコメントする。

本調査のデータは、全世界の登録ユーザー数が5400万人を超えるカレンダーシェアアプリ「TimeTree」の日本ユーザーを対象に、直近3年間の各年4月1日時点に登録された「5月の予定」をもとに算出されたものだ。調査では、2022年の5月に「休暇予定」をアプリに登録した人の割合を100とし、2023年、2024年のデータを比較。その結果、2022年と2024年の比較で「休暇予定」を登録した割合に14%の伸びがあり、5月にしっかり休暇を取る人が増えている傾向が分かった。

さらに2024年のデータから「休暇予定」と関連性の高い「旅行」の予定を分析したところ、国内旅行の予定を登録している割合が前年比103%とほぼ横ばいであったのに対して、海外旅行と登録している人の割合は昨年比161%と大幅に増加。アフターコロナで海外旅行人気の高まっている状況が明白に。

航空旅行のトレンドが、沖縄・北海道から“近場の海外”にシフト?

さて、ここまで読んだ読者がおそらく気になるのは、「海外旅行復活」の中での人気の旅行先だろう。同調査では渡航先の情報も分析している。

渡航者数で最も多かったのは韓国、次に台湾で、この2地域で海外旅行全体の78%を占める。一方で増加割合では、上位2地域が逆転する結果に(台湾:昨年比379%、韓国:昨年比149%)。日本人に身近なリゾートであるハワイの登録割合も前年比181%の伸びを見せた。対して、同じ調査の国内旅行先では、人気旅行先の沖縄と北海道に出かける人の割合がともに前年比25%の減少。それらを踏まえて「飛行機で行く旅行」が国内から「近場の海外」にシフトしている傾向が読み取れるという。

「新型コロナウイルスの感染リスクで長らく行けなかった海外旅行への思いが戻ってきていることもあり、短期間で行ける旅先が好まれているのではないでしょうか。円安傾向で長く滞在するほどお金がかかるという点も、身近な海外の人気を押し上げていると思います」

そう語った深川氏。さらに同氏は「一方、本調査結果では決して近いとはいえない『ハワイ』への旅行なども増えていることから、今後はより遠い地域への旅行需要も徐々に復活してくるのではないでしょうか」と付け加えた。

コロナ禍の緊張した状況を抜け、初めての、または数年ぶりの海外旅行に出てみようと検討する読者は多いだろう。今回の調査結果を参考にしながら、しっかりと予定を立てて楽しい旅を計画してみては?

【「TimeTree未来総合研究所」未来データレポートについて】
2024年4月1日に設立されたTimeTree未来総合研究所は、全世界の登録ユーザー数が5400万人 を超えるカレンダーシェアアプリ「TimeTree」に登録された90億超の予定データを統計的に分析するTimeTreeの社内研究所。多様性に溢れ、先の読めない時代においても、世間が納得して未来を選べるきっかけをつくるために、予定データから見える世の中の動きや未来の兆しを発信している。月に一度発信する「未来データレポート」は翌月1ヶ月間の予定データを分析し、この先の兆し・トレンドを届けることを目的にしている。