リュックの中で倒れやすいものが多いスイーツはウーバーイーツ配達員の天敵です
リュックの中で倒れやすいものが多いスイーツはウーバーイーツ配達員の天敵です

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第49回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

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スイーツ。自分へのごほうびとして買われる方も多く、ほとんどの方にとってテンションの上がる食べ物だと思います。

私もライターの仕事でなかなか筆が進まない場合は「この原稿を書き終えたら、有名店のケーキを食べに行く」みたいな目標を立て、頑張って閉店時間までに原稿を仕上げる、なんてことはよくあります。

このカタカナ4文字を見るだけでテンションが上がる「スイーツ」ですが、大きなリュックを背負って配達をしている時はテンション急降下、見るのがイヤな4文字に逆転します。

今回は、そんなスイーツの配達について書こうと思います。

なぜ配達中にスイーツの文字を見ると気分が落ちるのか。それはスイーツにはウーバーイーツのデリバリーに不向きな要素が3つもあり、うまく運べずに注文者からBAD評価をつけられる可能性が大きい商品だからです。

スイーツは一般的に食後に食べるので、量は少ないものがほとんど。この「量が少ない」というのが、ウーバーイーツのデリバリーに不向きなひとつ目の要素です。

小さな器に盛られたものを大きなリュックに入れて配達すると、配達中、リュックの中で商品が動いてしまいます。もちろん、商品が動かないよう配達の際は緩衝材を準備しておくなど対策をとるのですが、完全に固定することは正直難しいです。

ふたつ目は、スイーツが見栄えを重視しているということ。パフェのような何層にも重なった商品は縦長で、リュックの中でとても倒れやすい。クレープも見栄えが悪くなるからでしょうか、縦長の状態で運んでほしいと指定してくる店がけっこうあります。また。パンケーキは生クリームやフルーツなどがポツン、ポツンとデコレーションされているので、配達中の横揺れでおしゃれな盛り付けが台無しになってしまうことがよくあります。

そして3つ目は温度の問題。スイーツを注文する方の多くは料理も一緒に注文されます。スイーツには風味を重視するものや温度管理をしっかりしなければならないものが多いので、一緒に運ぶ際は気を使わなければなりません。熱々のシチューとアイスクリームの組み合わせや、ニンニクたっぷりの肉料理とパンケーキの組み合わせなどの配達は「普通に運んでもBAD評価をつけられるんだろうな」と諦めの気分で運んでいます。

このような理由から、スイーツは配達員にとって実はテンションが下がる配達物なのです。

文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明