将棋の奨励会員・山下数毅三段(15)が9日、東京・将棋会館で第37期竜王戦6組ランキング戦準決勝に臨み、井出隼平五段(33)に91手で勝利した。山下三段は決勝で最年少棋士の藤本渚五段(18)と対戦。プロ未満の奨励会員が最下位の6組とはいえ、竜王戦ランキング戦で優勝すれば史上初となる。

 振り駒の結果、山下三段が先手になり戦型は振り飛車党・井出の四間飛車。2度の角交換から、飛先を突破した山下三段に対し、井出も角金交換の駒損ながら4筋を突破した。山下三段は手にした3桂から2枚を中段へ配して攻勢を強め、最後は華麗なる角のタダ捨て。詰み筋と悟った井出が投了した。

 山下三段は昨年4月から10月までの第73回三段リーグで13勝5敗の好成績を残して3位。優勝、準優勝者がかなえる四段昇段は逃したが次点になり、2度目の次点が得られればフリークラスでの四段昇段となる。

 その次点の付与条件として、三段リーグからただ一人出場できる竜王戦6組での優勝もあった。

 次戦の大一番で挑む藤本は昨年度、51勝9敗で勝率8割5分。藤井聡太竜王=王将を含む8冠=の8割5分2厘(46勝8敗)にはわずかに及ばなかったが、勝率1位賞を争い、新人賞と最多勝利賞をダブル受賞した。6組決勝へは7日、古森悠太五段(28)に千日手指し直しの末に勝利し、一足早く駒を進めていた。