◇ナ・リーグ パドレス6−3カブス(2024年5月6日 シカゴ)

 【平成の怪物が行く 松坂大輔の探球】ダルビッシュ投手の初回の投球を見て、体調面でまだ万全ではないように感じました。首の張りから復帰して2試合目。それでも、悪い中でいかに抑えるかというのは投手にとって必要不可欠な資質です。あまり状態が良くない中で使えるボールをいち早く見つけ出し、その球を軸に投球を組み立てる。この日はスライダーでした。

 4回1死二塁では6番スワンソン選手を142キロで空振り三振。試合後に本人とも話をしましたが、速くて曲がりの小さいスライダーの割合を前回投球から増やしているとのことでした。同時に直球も非常に良かったと思います。高めを積極的に使っていました。

 5回83球で降板。それでも本人は、6回の6得点がなければもう1イニング投げる予定だったと言っていました。今年8月で38歳。ボールを見ていても年齢を感じさせません。直球、変化球ともに高いレベルで維持できています。それどころか、旺盛な探究心を持つ本人と話していると「伸びしろ」さえ感じます。まだまだ進化の途中。改めてそう思いました。

 日米通算200勝まで残り2勝。周囲は騒ぎますし、素晴らしい数字なのは確かです。ただ、ダルビッシュ投手にとってはゴールではありません。当たり前のように通過するでしょう。記録を超えたその先、プレッシャーから解放された中で新たな景色を見るであろうダルビッシュ投手の投球も楽しみにしています。(本紙評論家)