◇パ・リーグ 日本ハム12−3西武(2024年5月15日 エスコンF)

 放物線を眺め、驚いた。捉えた打球が予想以上に伸びたからだ。日本ハム・万波が逆方向の右翼席に決勝弾。「間違いなく、キャンプも含めて今年の中で一番いい感じで振れている」と胸を張った。

 初回2死二、三塁。隅田の150キロの外角直球を振り抜いた。5号3ラン。過去3度の対戦で1点しか奪えていなかった左腕を攻略した。5回の左翼線二塁打と7回の左前適時打で今季初の3安打で4打点。今季最多19安打で12得点を記録した打線の中心で輝いた。

 今月上旬までは不振に苦しんだ。打撃フォームのずれが原因と考えていたが10日の試合直後のベンチで八木打撃コーチから打つタイミングの遅れを指摘された。すぐに始動を早めるように修正。翌11日には新庄監督からも「思い切り振っていい」と激励された。そこからこの日までの4試合は14打数7安打、打率.500、2本塁打、8打点。「(始動を早めたことが)一番、大きい」と感謝した。

 新庄監督が22年の就任から我慢して起用した万波。昨季は25本塁打し、今季開幕前にレギュラーの一人に明言された。ようやく不振を脱出。チームは今季2度目の5連勝で19年8月5日以来1745日ぶりの貯金7とした。3年目の新庄政権最多。28日からの交流戦までに貯金11を目標とする指揮官も「連勝を重ね、11まで持っていけたら」と見据える。

 昨季は31勝40敗だった本拠地が今季は13勝4敗1分け。ファンとともに、2年連続最下位から巻き返している。球団OBの大谷は「ヒリヒリした9月」を求め、秋は消化試合が多かったエンゼルスから強豪のドジャースに移籍した。このまま首位を走るソフトバンクに食らいつき今年こそは実りの秋にする。(田中 健人)

 ≪過去11度で9度≫2ステージ制のプレーオフ(現CS)が導入された04年以降、日本ハムが貯金7以上を記録するのは19年以来12度目。過去11度のシーズン最終順位を見ると優勝5度、2、3位が各2度、4、5位が各1度で3位以上が合計9度。V確率は45%、Aクラス入りの確率は82%となっており、18年以来のCS進出はもちろん、16年以来のV奪回にも期待がかかる。