日本人左腕の快刀乱麻が止まらない。

 現地5月7日、シカゴ・カブスの今永昇太が本拠地でのサンディエゴ・パドレス戦に先発。メジャー自己最長となる7回0/3(102球)を投げて、7安打8奪三振1四球2失点に抑える力投を見せた。チームが8回に同点に追い付き今永に勝敗は付かなかったが防御率は1.08と、いまだメジャートップをキープしている。

 リグリー・フィールドでの登板は4月20日のマイアミ・マーリンズ戦以来となった今永。この日も気合の半袖姿でマウンドに上がり躍動した。

 初回は四球をひとつ与えたが、強打者マニー・マチャドを93.4マイル(約150.3キロ)の速球で空振り三振。2回に初安打を許したが、後続を外野フライ2つに打ち取った。
 
 4回は先頭のジェイク・クローネンワースをスプリットで、マチャドを速球とスプリットのみで攻め、最後は真ん中低めに投じたスプリットで再び空振り。ザンダー・ボガーツを中飛で三者凡退に抑えると、その裏にカブス打線がコディ・ベリンジャーのソロホームランが飛び出し、今永を援護する。

 5回も簡単に2アウトを取った後、この日2本目の安打でランナーを許すが次打者をカウント2-2で追い込むと、最後は切れ味鋭いスプリットで空振りに仕留めると、グラブを叩き吠えた。

 だが6回にピンチが訪れる。1アウト後、フェルナンド・タティースJr.に初球の直球を右安打。続くクローネンワースも初球を狙われて一、二塁。初めて得点圏にランナーを背負うと、打席にはここまで2三振を奪っているマチャド。気合十分のスラッガー相手に今永は強気のストレート勝負。内角中心に3球目のスプリット以外は直球をすべてファウルにして迎えた5球目、92.2マイル(約148キロ)のストレートで空振り三振。メジャー屈指の強打者を3打席連続三振と完全に料理した。続くボガーツはボールを丁寧に低めに集め、最後はスプリットで8個目の三振に斬って取りピンチを脱すると、今永はこの日一番の雄叫びを上げた。

 7イニング目を三者凡退に抑えた今永は、この時点で防御率は「0.65」。先発投手として、驚異的なスタッツを叩き出した。

 1点差のまま迎えた8回、球数が95球だったがベンチは好投を続ける日本人左腕の続投を決断。しかし、これが結果的に裏目に出てしまった。疲労の色が見える今永は先頭のルイス・アラエスに出塁を許すと、続くジュリクソン・プロファーにスプリットをうまくバットに当てられ、左中間に運ばれる痛恨の逆転2ランを浴びてしまった。無念の表情を見せた今永はここで降板するも、球場は熱投を続けた背番号18に惜しみない労いの拍手を送った。

 その裏、カブス打線がパドレス4番手の松井裕樹を攻め無死一、三塁の好機を作るとクリストファー・モレルが中犠飛で2対2の同点に追い付き、日本人ルーキーの黒星を土壇場で帳消しにする粘りを見せた。なお、試合は9回にマイケル・ブッシュのサヨナラホームランが飛び出し、カブスが劇的な勝利を飾った。
  米球界トップの防御率に現地も驚きを隠せない。MLB公式サイトは今永が7回を投げ終えた時点での防御率を「0.65」という単純明快な数字だけを綴り、日本人左腕の快投を伝えた。同じくMLB記者のサラ・ラングス記者は今永が先発7試合で計5四球しか与えていない事実に驚愕。「開幕投手を除き、両リーグで防御率が公式化された1913年以降、防御率がこれほど低く、四球もこれほど少ない投手は他にいない」と、日本人ルーキーの洗練された投球術に脱帽している。

 地元シカゴのニュースメディア『Marquee Sports Network』も今永の躍動感溢れる熱投に夢中だ。「ショウタ・イマナガはアンビリーバブルだ!」と速報を打ち、惜しくも無傷の6連勝は逃したが、安定感抜群のピッチングに賛辞を送っている。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】止まらぬ快投!今永昇太が三振の山を築き防御率はメジャートップの「1.08」
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