五輪女王が、日本女子エースに強い警戒を示している。

 現地5月11日、卓球の国際大会「サウジスマッシュ2024」の女子シングルス決勝が行なわれ、東京五輪2冠の陳夢(世界ランク4位)が同1位・孫穎莎との頂上決戦をゲームカウント4-2(6-11/11-5/11-8/11-9/6-11/11-8)で制し、2度目の優勝。今夏のパリ五輪直前、最後の頂上決戦をモノにした。

 WTT(ワールドテーブルテニス)最高峰に位置づけられる今大会には、パリ五輪出場が想定される強豪選手がこぞって参戦。まさに五輪の前哨戦ともいえる舞台で、東京五輪女王は躍動。持ち前のパワフルな卓球に加え、緩急をつけた攻撃で強敵を次々と打ち倒し、価値あるタイトルを手中に収めた。

 特に、中国の大きなライバルとして注視されている日本女子勢の大きな壁となって女王は立ちふさがった。ラウンド16では世界ランク13位の平野美宇をストレートで撃破。同8位にまで上げてきた15歳・張本美和を準々決勝で蹴散らすと、ベスト4では2月の世界卓球団体戦で敗北を喫した早田ひな(同5位)をゲームカウント4-0で完封。五輪トリオを3タテする圧巻の戦いで、一気に頂点を掴んだ。
  見事に優勝の美酒を味わった陳夢だが、2度目のオリンピックに向けて油断は微塵もないようだ。中国唯一の英語スポーツテレビ番組『CGTN Sports Scene』によると、五輪女王は「この2年間、私は孫穎莎と戦ってきた。今日は本当にファイターのメンタリティを取り入れました」「サウジスマッシュの旅が、とても思い出深く、良いものになったことを嬉しく思っています」と話し、女子ダブルスとの2冠を喜んだ。
 
 また、中国卓球界のライバルとして力を高めてきている日本のトッププレーヤーから、鮮やかに3試合連続勝利を挙げた点を問われると、「(2月の)団体戦で早田に負けてしまっていたので、彼女との試合を楽しみにしていました。そのための準備を相当してきました」と、日本女子エースとの再戦を心待ちにしていたと明かす。そして、「早田選手は中国選手と、実力も技術も拮抗しています。この勝利は本当にチームのおかげです」と、五輪前に早田から白星を挙げた価値を強調。1ゲームも譲らなかったのは、十分な対策をしたからだと言及した。

 母国のスポーツメディア『捜狐』も「平野美宇、張本美和、早田ひなの日本選手3名は、いずれもパリ五輪に出場する選手であり、日本の主力プレーヤーである。陳夢が日本チームの主要選手3人を全員破るとは予想していなかった」として、その快挙を綴っている。

 2月の世界卓球団体戦で銀メダルを獲得し、中国勢をあと一歩まで追い詰めた日本女子陣。チームを牽引したサウスポー・エース早田の存在は、卓球大国にとって最大に警戒すべき相手として脅威と目されている。

構成●THE DIGEST編集部

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