FAカップ決勝で本来の輝きを取り戻した

日本時間25日に行われたFAカップ決勝のマンチェスター・ユナイテッド対マンチェスター・シティの一戦は、2−1でユナイテッドが勝利した。

試合前、4連覇を達成しここまで好調を維持し続けてきたシティの勝利が有力視されていたものの、ユナイテッドイレブンの奮闘ぶりがジャイアントキリングとも言える勝利を呼び込んだ。中でも攻撃面で光ったのはブルーノ・フェルナンデスだった。2点目のアシストとなったプレイは、右からの折り返しをペナルティエリア中央で受け、それをワンタッチで左にいたコビー・メイヌーに渡し、得点を生んだ。ペナルティエリアの狭いスペースにも関わらず、パスの創造性、加えて出した位置もスピードも完璧な内容だった。

またディフェンス面で光ったのは、モロッコ代表選手でもあるソフィアン・アムラバトだ。今シーズン、リーグ戦では目立った活躍ができず、出場機会を失っていたが、リーグ戦のラスト3試合では先発出場を果たし、チームの2勝に貢献していた。この決勝戦では、もともとアンカーとして持っている能力が発揮され、中盤を凄まじい運動量でカバーした。シティの攻撃の大黒柱であるケビン・デ・ブライネにはいい仕事をさせず、この躍動する姿はモロッコ代表を3位に導いた2022W杯の活躍を彷彿とさせるものだった。

そしてこの活躍に反応したのが、ユナイテッドの中盤のレジェンド、ポール・スコールズ氏だ。自身のSNSにアムラバトがトロフィーを掲げる写真とともに「まるで全盛期のガットゥーゾみたいだ」とメッセージを書いて投稿した。

そのアムラバトは、現在セリエAのフィオレンティーナからレンタル移籍中であり、シーズン終了後にオールド・トラッフォードから去ることが予想されている。だが延長オプションがついており、シーズン終盤にきてチームの勝利に貢献するこの姿は、首脳陣の考えを改めさせるかもしれない。

アムラバトがユナイテッドに残るかどうかは不透明だが、この活躍ぶりを見れば、まだ27歳の彼を欲しがるチームは多いだろう。来シーズンこそ、一年を通し安定して活躍するアムラバトの姿に期待したい。