ボクシングの4大世界タイトルマッチ(6日、東京ドーム)のメインで、スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(31=大橋)が、〝悪童〟ルイス・ネリ(29=メキシコ)に6ラウンド(R)KO勝ち。新旧注目のボクサーたちが、この〝ビッグイベント〟に来場した。

 元WBC世界バンタム級王者の山中慎介氏(41)は2017年にネリと、具志堅用高に並ぶ13度目の防衛戦に臨み敗北。のちにネリのドーピング陽性が発覚し18年の再戦では、ネリが前日計量で大幅な体重超過。ベルトはく奪も山中はKO負けを喫し、この試合を最後に引退した。

 試合後に、山中氏は「ネリを見たくなかったし、あの時のことがどうしてもよみがえるけど、試合が始まれば、普通に井上対ネリとして見られた。(山中氏のリベンジとか)ファンが僕のことを思ってくれるのはうれしいけど、自分自身モヤモヤしている感じで見られたくなかった。かたきを取ってほしいとか、そういう感じではなかった」と振り返った。

 井上は1Rに初のダウンを喫したが、2R以降はいつも通り試合の主導権を握った。山中氏は「すごい試合になった。毎試合、毎試合お客さんを満足させて帰らせる選手はいない。最後はなぎ倒すのが井上だし、本当に毎回強い」と〝モンスター〟を称賛した。

 WBA世界バンタム級7位の那須川天心(25=帝拳)もリングサイドで観戦。井上のKOを間近で見て「盛り上がっていたし、しっかり決めるので、本当に学ぶことが多いなと感じました」と振り返った。

 同じキックボクシング出身でバンタム級の武居由樹(大橋)が、初の世界戦でWBO王者ジェイソン・モロニー(オーストラリア)を破った。これでバンタム級の4つの世界ベルトは、日本人が保有となった。

 那須川は「(武居に)同じ時代を戦ってきたので、素直にうれしい。全てのベルトを日本人が持ったので狙いやすいというか、日本人と戦って勝つとボクシング界がもっと面白くなると思うので、すごく楽しみ。次に東京ドームを埋められるのは、俺しかいないという気持ちはある。次は、絶対に(自分が)いると思いますよ」。

 自身もキックラストマッチで22年6月に東京ドームで武尊と〝世紀の一戦〟を戦った。今度はボクシングでドームのメイン戦に立つことを予告した。