だれかと比較することがよくないことは知っている親御さんは多いかもしれませんが、たとえばこんなほめ方をしていませんか?

「まだ小学校に入ったばかりなのに、こんなにきれいな字が書けるの? すごいわね!」とか、ピアノの発表会で「あなたがいちばん上手だったわよ」とか、おもちゃを片づけた子どもに、「あなたはいわなくてもちゃんとできるのね」とか。

一見、具体的な友だちやきょうだいと比べているわけではないから、よさそうに見えますよね。

でもじつはこれ、親御さんのなかで無意識にだれかと比べているのです。

こんなふうにほめられたらお子さんは、「きれいな字を書きつづけなければいけない」「ピアノ教室のだれよりもうまく弾きつづけなければいけない」「いわなくてもできる子でいなければならない」と思ってしまいます。

これでは子どもの自己肯定感につながらないどころか、その子はいつも自分をだれかと比較することでしか、自分を肯定できなくなってしまうかもしれません。

人と比べるくせが抜けないまま思春期になってしまうと、「恥ずかしいよ、こんなダサい格好」「どうせみんなもやってないし」などと言ったりします。つまり、判断基準がいつも「他人の目」なのです。

とにかく成長したところを探す癖をつける

比べるとしたら、「昨日(過去)のお子さん」と比べましょう。

ほんの少しの成長に気づくためには、肯定的なことをいつも探すことが大事です。

1メートルの成長である必要はありません。0.1ミリでいいんです。

難しいことではありません。コツは“その子”を見ればいいだけ。

「昨日より5分早く起きられたね」でもいいですし、もっといえば「『おはよう』の“は”が昨日より大きな声で言えたね」なんてことでもいいんです。