――アジアのようなこれから鉄道が伸びていきそうな国に今後出番が増えていく?

それは日本の海外インフラ展開がどうなっていくかによります。私たちが独自にリスクを取って出ていくことはないでしょう。

――ここまでのお話をお聞きすると、国の決めた方針に従って活動しているような印象を受けますが、JRTTのほうからこんなことをやろうと提案して始めたものもありますか。

というよりも、お互いに意見をキャッチボールしながら決めています。私たちはいわば裏方ですが、実際にいろいろな調査をしているのは私たちですし、その調査結果が反映されるわけですから。

開業の瞬間「大きな喜び」

――就職先としてJRTTを志望する学生は、JRTTの業務をどのくらい理解しているのでしょうか。

どうなんでしょう。土木を志望する人は業務内容を理解している人が多いと思いますが、私たちが世の中に広く知られているかというとそうでもないので、なるべく関心を持っていただきたいです。そのための機会はたくさん作りたい。

――就職先としてJRやゼネコンと比較した場合のJRTTの魅力とは?

調査、計画段階から地元との調整を行って、設計して、用地を取得して、発注して、施工管理をやって、完成検査をやってという、一連のプロセスをすべて一貫して取り組めるというのが1つの特徴です。それから、鉄道は土木、軌道、電気、建築、機会などの総合的なシステムであり、その全体を統合する総合性も特徴の1つです。そういう仕事をぜひ面白いと思っていただきたいですし、何より、後世に残る大きなものを作るわけですから、ぜひその辺をご理解していただきたいなと思います。

北海道新幹線 渡島トンネル 鉄道・運輸機構が建設を進める北海道新幹線のトンネル(編集部撮影)

――その意味では、JRと比べると鉄道開業の瞬間に立ち会える機会が多い。

開業のときに地元の方に喜んでいただけるのは大きな喜びです。もう1つ挙げるなら、鉄道も船舶もCO2排出量が少なく環境にやさしい。サステナブルな社会に貢献できるということも理解していただきたいですね。

著者:大坂 直樹