こうした理由から、不動産業者は「いまが購入の最後のチャンス!」と営業攻勢を強めています。一方、以下のような需要減少要因に着目し、「慌てて買う必要はない」とする意見もあります。

実需も節税需要も頭打ちか?

実需はもう限界

「1億円がデフォルト」となると、普通の会社員はもちろん、パワーカップル(夫婦の両方が年収700万円以上)でも購入困難です。わが国では、実質賃金が2月まで23カ月連続でマイナスでした(毎月勤労統計調査)。好調だった春闘を受けてプラス転換が予想されますが、プラスが定着するかどうかは不透明。実質賃金が減少したら実需は頭打ちします。

節税対策需要は減少へ

高齢の富裕層が相続税対策にマンションを購入するのが、近年のブームでした。しかし、いわゆるタワマン節税が税制改正で今年1月1日からできなくなりました。他にも空室リスクの高まりなどもあって、節税対策としてのマンション投資の魅力は低下しており、この目的の需要は減少すると見込まれます。

円安進行で投資ファンドからの資金流入が細る

円安で海外の投資家は日本のマンションを安く買えますが、円安が進むと所有物件の外貨建ての価値が下がります。「安いけど、さらに安くなっていく」日本のマンションには、円安進行で投資ファンドからの資金流入が細っていく可能性があります。

このように、今後のマンション価格については上昇要因と下落要因が交錯しており、「まだまだ上がり続けるかもしれないし、そろそろピークかもしれない」ということになります。

ただ、居住目的でマンションの購入を検討しているなら、「慌てて買う必要はない」という結論になるのではないでしょうか。