東証がPBR(株価純資産倍率)が低迷している上場企業に対し改善要請を強化したことから、「ROE(自己資本利益率)を高める経営」が再注目されている。では、どんな会社が「良い会社(クオリティの高い会社)」なのか。アメリカの投資ファンドでアナリスト等を歴任した森憲治氏が、長期投資の視点から、企業価値を高め、国内外の投資家から評価される会社について考察する。

※本記事は森氏の著書『米国の投資家が評価する「良い会社」の条件 クオリティ投資の思考法』から一部抜粋・再編集しています。

「クオリティ投資」とはどういうものか

クオリティ投資とは、文字どおり、質の高い会社に投資を行なう投資手法であるが、何をもって質の高い会社というかは専門家のあいだでもそれぞれであり、明確な定義は存在しない。

また、クオリティ投資といってもさまざまな手法があり、クオリティ投資全般が市場平均以上の素晴らしい投資リターンを上げることができるわけではない。

ただし、クオリティ投資を行なうことで市場を大きく上回る投資リターンを達成している投資家は数多く存在する。