塗装いらないし。

ホンダの素材リサイクル技術、どう使う?

 パシフィコ横浜で2024年5月22日から24日に開催の「人とくるまのテクノロジー展2024」(公益社団法人 自動車技術会主催)では、自動車メーカーが環境への取り組みをアピール。そのなかでホンダは、素材リサイクル技術を活用した、自動車ボディの外装パネルを展示していました。

 ブースにあった自動車側面の外装パネルは、たとえば白い板に墨をランダムにこぼしたような模様や、黒い板に青や黄色の絵具が所々にこびりついたような模様がついたものでした。

「これはアクリルをリサイクルしたものです。塗装は一切しておらず、全て素材そのものの色です。このムラのある感じが、逆に面白いでしょう」――説明員がこう話しました。

 また、三菱ケミカルのブースでも、同様に真っ赤な外装パネルが展示してありました。これは、ホンダが2023年のジャパンモビリティーショーにて出展し、往年の小型車「シティ」の再来とも言われた「SUSTAINA-C Concept」という赤いコンセプトカーのパネルです。

 ホンダと三菱ケミカルは2021年から、使用済みの自動車のテールライトなどに使われたアクリルなどを回収、粉砕し、樹脂様の高分子化合物を製造する技術開発を行っています。「SUSTAINA-C Concept」の赤いボディは、テールライトなどのアクリルをリサイクルしたパネルを使っており、素材の赤がそのまま活かされたものでした。

 同様の技術でアクリルをリサイクルして製造したのが、今回ホンダが展示していた白や黒のパネルです。「アクリルならばなんでも活用できます。コロナのときに多くのお店が用意した(飛沫防止用の)アクリルパネルなんかも使えますね」とのこと。

 このアクリル由来の外装板はやわらかくしなやかな素材で、長期にわたって色を保持する耐候性も持ち合わせているとか。ただ、そこまで厚いものでもありません。

「金属のボディの上に付ける、樹脂バンパーのような使いかたを想定している」とのこと。パネルを着せ替えるように、ボディカラーを変えるといった使いかたも考えられるそうです。今後、EV(電気自動車)にて実展開する予定だといいます。