煙幕にドアハンドルの電気ショックの007パッケージってナニ!? コルベットを1000馬力に仕上げた「ビースト」がもはやSFアニメのクルマだった

この記事をまとめると

■カリフォルニアに本拠地があるレズバニ・モーターズ

■最新モデルのビーストはC8コルベットをベースに1000馬力までチューンされたモンスターマシン

■ビーストにはオプションとしてEMPなどのガジェットが付く「007パッケージ」が用意されている

まさに「ビースト」の名にふさわしいハイパーカー

 クルマで「ビースト」といえば合衆国大統領の専用リムジンかと思っていたら、とんでもないクルマを発見しました。

 カリフォルニアに本拠をおくレズバニ・モーターズは、アリエル・アトムやポルシェ911をベースにしたぶっ飛びカスタムマシンやタンク(戦車)といったミリタリーテイストのスペシャルカーなど、とにかくけた違いなファクトリー。そんなレズバニ・モーターズがリリースしているモデルのなかに、とんでもないビーストがありました。

 ビーストと名付けられたマシンは2014年に初代がリリースされ、アメリカのビリオネアたちに大好評。次いでビーストX、ビースト・アルファ、ビースト・アルファXへと進化を続け、最新のビーストは、C8コルベットをベースとしながらとんでもない代物となっております。

 そもそもレズバニはイラン系アメリカ人、フェリス・レズバニ(Ferris Rezvani)によって2013年にスタートした新興ファクトリー。ですが、初代ビーストが当時の一流ラッパーやヒップホップアーティストに購入され、ミュージックビデオに登場したことからブレイクしたとのこと。

 価格も相当なもので、たとえばソウルアーティストのクリス・ブラウンが購入した初代ビーストは20万ドル(当時のレートで約2600万円)と噂されました。もっとも、レズバニの特徴は個性的なスタイリングに包まれた独自のメカニズムであり、そのパフォーマンスを考慮すれば決して法外な値段とはいえません。

 むろん、C8ビーストも同様で、カーボンで作られた先鋭的なボディ、ドラゴンウィングと名付けられたポップアップドアなどギミック満載です。

 また、エンジンはC8のV8をベースに6.2リッターツインターボとして1000馬力を発生。0-60mphは2.5秒、1/4マイル加速が9.6秒といいますから、最高速度も300km/h超であることはほぼ確実で、誰が乗っても不足を感じるわけもありません。

内容がぶっ飛んでいるオプション「007パッケージ」

 と、これだけなら「ああ、アメリカの金持ち向けモンスターマシンだよね」と冷ややかな表情を浮かべる方もいるでしょう。が、レズバニが用意したその名も「007パッケージ」なるオプションには誰もが言葉を失うはず。

 まずはネーミング通り、あたかもボンドカーに装備されていそうなスモークスクリーンは、文字どおり、ボタンひとつで後方に煙幕を張るデバイス。不意の追跡者をまくのに最適です。そして、悪者から愛車を守るためのセキュリティとして「磁気デッドボルト&エレクトリックドア」。こちらもアメリカではわりとポピュラーで、くせ者の接触・侵入をしっかりと防いでくれるはず。

 フロントとリヤに装備した「ショッキングフラッシュ」もまばゆいばかりの閃光を発し、賊の目をくらませるという仕組み。ミリタリーグレードのランフラットタイヤや、紛争地域に入っても有効なほどの防弾装備も当然のように用意されています。

 007パッケージのなかでもとりわけ驚かされたのが「EMPプロテクション」なる装備で、車両の電気システム全体を対象とした世界初の電磁パルス(EMP)保護技術。電磁パルスとは、核爆発後に放射され、電子機器を動作不能にするもの。

 軍用規格を超えることが証明されているEMPシールドは、世界最速のサージ保護デバイスだそうで、レズバニ(とパートナー企業のEMPシールド LLC社)は、連邦政府機関と協力して、EMP攻撃から防御! とのことですが、ビリオネアがギャングやテロリストから身を守るためのスモークや磁気デッドボルトはともかく、EMPって核戦争でも想定しているのか大げさといえば大げさでしょう(笑)。

 が、現在のアメリカではハイパフォーマンスやスタイリッシュというだけではスペシャルカー市場で勝ち残れないのかもしれません。

 ところで、C8ビーストの価格は007パッケージ抜きで48万5000ドル(約7600万円)、20台限定だそうです。それにしてもタイヤスモークでなく、煙幕をまき散らしながら猛スピードで走り去るビーストって見てみたいですよね。出でよ、日本人ビーストオーナーってことで期待しちゃいましょう!