【ソウル聯合ニュース】韓中日首脳会談で採択された共同宣言に、北朝鮮による韓国人拉致被害者問題を盛り込もうとした韓国政府の試みは空振りに終わった。

 韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と中国の李強首相、日本の岸田文雄首相は27日、ソウルで3カ国首脳会談を開いた後に発表した共同宣言で、「われわれは域内の平和と安定、朝鮮半島の非核化、拉致問題に対するそれぞれの立場を改めて強調した」と記した。

 韓中日はこれらの問題について共通の立場を引き出すことができず、各国が重要視する事項を羅列したものと受け止められる。中国は「域内の平和と安定」、韓国は「朝鮮半島の非核化」、日本は「拉致問題」について強調したもようだ。

 拉致被害者問題に対するこのような表現は、前回の首脳会談と比べてむしろ後退したといえる。

 2019年12月に開かれた前回の首脳会談の成果文書には「中国と韓国の首脳は、日本と北朝鮮との間の拉致問題が対話を通じて可能な限り早期に解決されることを希望する」との内容が盛り込まれ、18年の首脳会談の共同宣言にも同様の文言が記載された。

 これに比べると、今回は単純に「拉致問題」とのみ言及され、北朝鮮による拉致問題という点も明文化されなかった。韓国政府は日本人拉致問題の解決に加えて韓国人拉致被害も明記することを模索したが、実現しなかっただけでなくこれまでと比べ内容も薄められた。

 「韓米日」対「中ロ朝」という新冷戦構図の中で米国と対立する中国が、安全保障問題において意図的に北朝鮮に肩入れしたためと分析される。

 これに対し、韓国人拉致被害者の家族と北朝鮮の人権問題に取り組む韓国団体は落胆の色を隠せなかった。また、尹大統領が岸田首相のように拉致問題解決に向けた意志を込めたバッジを着用しなかったことについても失望感を示した。