タイムトラベルができる場所

ただし、京都には1000 年にわたって都が置かれていた長い歴史があります。

それゆえ、京都の名所・旧跡といっても、それぞれに時代背景は異なっています。

いつも観光客で賑わう黄金に輝く金閣寺は、14 世紀の終わり頃、室町時代に建てられたもの。また、あでやかな舞妓たちで華やぐ祇園界隈が花街として栄えたのは、19 世紀初めの江戸時代後期になってからです。

京都のご老人が言う「先の戦争」とは、第二次世界大戦ではなく、15世紀後半に起こった応仁の乱を指すというのは有名なジョークですが、実際に、応仁の乱で都の中心部は焼け野原となりました。

しかし、第二次世界大戦の戦火を逃れたことで、残された貴重な文化財や歴史ある町並みは破壊を免れ、今日まで良好な形で保存されました。(そう考えると、京都の人にとって「先の戦争」が応仁の乱だというのは、あながち間違いではないのです)

西洋の堅牢な石の建築物ではなく、燃えやすい木と紙の文化が、これほど長い間維持されたことに驚く人もいるでしょう。

さほど大きくはない街に、さまざまな時代に生きた人々の痕跡が残されている。

つまり、ここはタイムトラベルが簡単にできる場所。

みなさんも、京都を旅して、時間旅行を楽しんでください。

そして紫式部も見たであろう景色に出会ってください。

願わくば、その感動を海外の友人・知人と共有してほしい。

ウォーホルやボウイやジョブズを魅了したものとは何か――それを見つけるお手伝いができれば、これ以上の喜びはありません。