エド・ズウィックが最近出版した『Hits, Flops and Other Illusions: My Forty Something Years in Hollywood』が、面白い。

『ラスト サムライ』(2003)、『ブラッド・ダイヤモンド』(2006)などで知られる71歳のベテラン監督が映画界に入った頃から現在までを振り返るこの回顧録には、本音、フラストレーション、ハリウッドのリアルが、包み隠さずつづられている。

具体的な業界人についてのエピソードもたっぷり。そんな中で最も興味深いのは、ジュリア・ロバーツと『恋におちたシェイクスピア』をめぐる話だ。

大作の企画が中止に

1998年に北米公開された同作の主演はグウィネス・パルトロウ、監督はジョン・マッデン。ハーベイ・ワインスタインのゴリ押しキャンペーンのおかげもあり、強力なライバルだった『プライベート・ライアン』を制してオスカー作品賞を受賞した。

ここでズウィックとロバーツがどう関係するのかと奇妙に思うかもしれないが、そもそもこの映画はズウィックが監督するはずだったのだ。それを潰したのがロバーツなのである。