ラウンドの前夜は、まるで遠足前の小学生みたいに眠れなかったり、物音やトイレですぐ目が覚めてしまう。実はこれらは40代から始まる睡眠タイプの老化現象だという。しかし悲嘆することはない。「睡眠の良し悪しは時間や深さで決まるのではなく、主観による満足度が大きいからだ」と、早稲田大学睡眠研究所の西多昌規所長はいう。


「朝型か夜型か。人にはそれぞれ活動しやすい時間帯があります。朝型は、朝から元気に活動して夜はすぐ眠くなってしまう“早寝早起き”タイプ。夜型は、朝は苦手だが夜遅くまで頑張れる“宵っ張りの朝寝坊”タイプです。タイプによってパフォーマンスの上がる時間帯は違いますが、各人に適したピークが来るよう体内時計が働いています」と西多先生。
 
そして、40代になると睡眠のタイプは老化し、明らかに変化するという。
 
「たとえば夜更かしできなくなる、朝早く目が覚めるなど、より朝型にシフトするのが特徴です。睡眠の老化を嘆くのではなく『早朝からパワー全開で向かうゴルフに最適の体内時計を持っているんだ』と、前向きに捉えてゴルフに生かしてはいかがでしょうか」
 
そのうえで知っておいてほしいのが、睡眠のメカニズム。入眠後はノンレム睡眠から深い眠りに入り、眠りが浅くなってレム睡眠へ移行する。個人差はあるがこの1サイクルを約90 〜120分で、4 〜5回繰り返しているという。
 
ノンレム睡眠は体を休めて疲れをとる深い睡眠。成長ホルモンの分泌や筋肉の補強が行われる。一方レム睡眠は、感情を整える役割を担う。夢を見る浅い睡眠だが、レム睡眠が短い人は寿命が短いというデータがあり、どちらも重要だ。中高年になると、朝方はノンレム睡眠でも最も深い睡眠は得にくくなって来るので、睡眠の前半にしっかり眠りたい。両者が効率良く取れて疲れも残らない。
 
つまり睡眠全体の前半にしっかり眠るよう心がけることが大事なようだ。くれぐれも寝る前のスマホは厳禁ですよ。
 
●西多昌規医学博士(早稲田大学スポーツ科学学術院 教授 早稲田大学睡眠研究所 所長)
国立精神・神経医療研究センター病院、東京医科歯科大学大学院、自治医科大学を経て、2017年に早稲田大学 スポーツ科学学術院 准教授。23年から現職。05年からハーバード大学医学部、15年からスタンフォード大学医学部へ研究留学。専門は精神医学、睡眠医学、スポーツ医学・心理学、産業メンタルヘルス。近著に『眠っている間に体の中で何が起こっているのか』(草思社)。ゴルフ歴8年。
 
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