2023年に10代でツアー4勝を挙げた飛ばし屋・櫻井心那のセッティングを分析。アマチュアの参考になる点を、フィッター兼クラフトマンの吉田智氏に聞いた。


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全体的に手元が軟らかいシャフトを使用しているのが櫻井プロのセッティングの特徴です。フルショットで使用するシャフトの振り感を統一している点は見習うべき点だと思います。彼女は松山英樹プロみたいに切り返しで止まるようにゆっくり切り返します。「トップで手元を置いたまま左股関節を引いて振ります」と語っていたそうですが、かなり切り返しでシャフトに負荷がかかります。

先調子など手元が硬いシャフトが勝手にしなり戻ると違和感を感じてしまう。手元が軟らかい方が自分のタイミングで切り返せるので、手元が軟らかいシャフトを使用しているのだと思います。

3番ウッドのシャフト『テンセイPROホワイト1K 50』や、3番ユーティリティのシャフト『テンセイPROホワイト1K 60S』などは典型的な手元調子系モデルです。アイアンの『N.S.PRO モーダス3』はプロトタイプですが、おそらく手元調子のモデルだと推察されます。手元調子系の方がタイミングが取りやすく、フルショットで打つ番手はそれで統一しているのでしょう。

ただ、手元が軟らかいシャフトがそろう中で異質なのが、ドライバーのシャフトの『ディアマナGT 60S』。手元が軟らかい中元調子系ですが、シャフトがしなり戻り、つかまりのいいモデルです。「ドライバーの『ディアマナGT』シャフトはつかまりのいいモノ。3番ウッドとはちょっと違う感じで、ドライバーはつかまる感じが好き。左の林の方向に振り出してフェードを打ちたい」と彼女は語っていたそうです。長くて振り遅れやすいドライバーでつかまりのいいモデルを選んでいるのは、アマチュアにも大変参考になると思います。

ドライバーで右プッシュなどが出やすいという人は、『ディアマナGT』『ツアーAD VF』など手元が軟らかくて、しなり戻ってくれるモデルをオススメしたいですね。

他に面白いのは、フルショットであまり使用しないウェッジは『N.S.PRO 950GH neo S』を使用する点でしょう。「ウェッジはドローでライン出しみたいに打ちたい。フェードだとタテ距離がブレるので」と櫻井プロが語っていたそうですが、ウェッジで使用するシャフトは手元がやや軟らかい中調子を採用。長い番手と短い番手でショットの性質によってシャフトタイプを変えているのは、非常に興味深いですね。

【櫻井心那のクラブセッティング】
1W:ダンロップ スリクソン ZX5 MK ll LS(8.5度/ディアマナGT 60S 、45.25インチ)
3W:ダンロップ スリクソン ZX MK ll(15度/テンセイPROホワイト1K 60S、43インチ)
3U:ダンロップ スリクソン ZX MK ll(19度/ テンセイ 1Kハイブリッド 80S)
4U:ダンロップ スリクソン ZX MK ll(22度/NS.PRO 850 GH S)
5I〜PW:ダンロップ スリクソン ZX5(N.S.PRO モーダス3 プロト S)
46,52度:クリーブランド RTX6 MID(N.S.PRO 950GH neo S)
58度:クリーブランド RTX FULL-FACE(N.S.PRO 950GH neo S)
PT:テーラーメイド TPハイドロブラスト JUNO TB1
BALL:ダンロップ スリクソンZ-STAR◆
※2024年開幕時のセッティング

■櫻井心那
さくらい・ここな/ 2004年生まれ、長崎県出身。22年はステップ・アップ・ツアーで5勝を挙げて賞金女王を獲得。レギュラーツアーに昇格した23年は、史上3人目となる10代でツアー4勝を挙げる活躍をみせた。23年ドライビングディスタンスでは3位に入った飛ばし屋でもある。ニトリ所属。

■吉田 智
よしだ・さとし/クラブメーカーを経て「プレミアム ゴルフスタジオ」(渋谷区)でフィッターを務める。アマチュアだけでなく多くのプロからも信頼され、これまでに女子ツアー5勝、ステップ・アップ・ツアー1勝、シニアツアー1勝をサポートしている。

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