<全米プロゴルフ選手権 事前情報◇14日◇バルハラGC(ケンタッキー州)◇7609ヤード・パー71>

4月の「マスターズ」に続き、今季2試合目のメジャーを迎える久常涼は早朝から練習ラウンドで調整。途中で雷雨のため中止を余儀なくされたが、すでに月曜日に1ラウンドを終えるなど、しっかりと準備を進めている。


コースの印象について聞かれると、「今週はチャンスがあるんじゃないかなって勝手に思ってる」と、歯切れのいい言葉も返ってくる。その根拠になるのが「日本っぽい」と話すフェアウェイ。ラフは粘っこい印象を受けるが、ターゲットがはっきりしているフェアウェイにはやりやすさを感じる。「ポイント、ポイントに打てないと話にならないけど」というのはもちろん前提にはあるが、イメージは決して悪いものではない。

この前のメジャーはオーガスタでのプレー。予選落ちを喫して、「舞い上がりながらゴルフをしていた」と振り返る。価値観も変わった。「フェアウェイしかなくて、整ったライからでも求められるものが高すぎて、それについていけない。技術を含めて全てが足りなかったことを思い知らされました。あそこで戦えるようにまた準備はしていきたい」。もちろん、バルハラGCも「(精度が)求められる。ラフからだと難しい」というさすがのメジャーセッティングだが、「いつもの試合と変わらず準備もできている」という部分に経験が感じられる。

月曜日の練習ラウンドは、松山英樹とともに回った。今年から同じ米国男子ツアーを主戦場にするが、例えば先週は“裏大会”の「マートルビーチ・クラシック」への出場になるなど、格上げ大会などの影響もあり、先輩と回る機会は決して多くはない。「これが一流と三流の違いだなとは思いますけど」と自嘲気味に笑うが、一緒になった時にはそこから多くのものを吸収しようとする。

アドバイスの内容などについては「内緒です」と秘匿したが、「世界トップにいる選手が日本人で、一番近くでいつも練習させてもらえる環境はすごくありがたい。松山さんを見て得られるものはめちゃくちゃあるし、いい感じに盗ませてもらえれば。自分のスキルに変えていきたい」という意思を持ってプレーをともにする。今後も出場が重なった時は、積極的に“松山塾”の門を叩くつもりだ。

現在、日本勢3番手につけるパリ五輪代表争いも佳境。6月17日の代表決定まで、残り1カ月になった。久常が欧州初優勝を挙げたコース(フランス、ル・ゴルフ・ナショナル)での開催ということもあり、かねて日の丸を背負ってプレーすることに強い意欲も示している。代表入りとなる日本勢2番手以内に食い込むためにも、一試合一試合が大事になってくる。

「4日間しっかり戦いきること。オーガスタで得られたものも多かったし、雰囲気もコースも違うけどメジャー2戦目。いい準備はできているので、落ち着いてやっていければ」。憧れてきたオーガスタ、そして一流のプレーから得た学びを、この4日間でひとつでも多く発揮したい。


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